鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

ある意味、ミニマリストへの環境を整えていく過程のようにも見える:読書録「すごいトシヨリBOOK」

・すごいトシヨリBOOK  トシをとると楽しみが増える

著者:池内紀

出版:毎日新聞出版

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ふと新聞の広告欄で引っ掛かって購入した作品。

…と言っても新作じゃないんですよね。

作者の池内さんは2019年に78歳で亡くなっています。

この本は2017年の出版。

70歳になった池内さんが、「歳をとること」や「老い」に関して自分自身の状況や考え、スタイル・取り組みなんかを書き留めていたのを、「これくらいで死ぬだろう」と考えていた「77歳」になったのを契機にまとめた作品です。

「77歳以上は延長戦」と考えていたそうですから、「78歳」で亡くなったってのは、ほぼ思い通りだったんでしょうかね。

 


内容は「老いに対する考え」や「体力や記憶力が衰えたことを前提にした取り組み」みたいなものを分かりやすく語ってくれています。

具体的な対策のようなものもソコココに書かれていますが、何か体系だって書かれているわけでもないので、全体としてはエッセイみたいなものでしょうか。

それぞれ置かれてる状況によっても、異なってくるでしょうしね。

 


「70歳」以降のことを書いてらっしゃるので、さすがに僕個人にとっては「少し早いかなぁ」ってところが多いです。

多いけど、

「ああ、でもこんな風になっていくんだろうなぁ」

と先の「見通し」のようなものを漠然と感じながら読んでたような感触はあります。

池内さんほど充実した老後を過ごす自信は全然ないんですけど。

 


ある意味、池内さんが目指していたのは「ミニマリスト」のような「老い方」なのかもしれません。

本当に自分に必要なもの、大切なものだけを残して、他のことには執着せず、整理するものは整理していく。

そんな印象があります。

一時期流行った原理主義的な「ミニマリズム」じゃなくて、もっとゆる〜い感じはありますが、それだけに本質的なところも感じられるような…。

ご自身がどこまでその境地に踏み込まれたのかは、チョットわからないですけど。

 


まあ、「医学会」「高齢者医療」なんかに対する文句のつけっぷりにはチョット過激なところもあって、

「いやぁ、コロナ禍を経験されたら頭に血が昇って大変だったかもね〜」

と思わないところもなきにしもあらず…ですが、全体としては名エッセイリストらしいユーモアに満ちた作品でした。

70歳過ぎたらこういう方向に行くとして、今現在の僕自身にとっては、もう少し違った「ミニマリズム」が必要かもしれませんがね。

それはまた、別の話。

 


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