鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

どっちも「歪な世界」にも見え、どっちも「普通の世界」にも見える:読書録「コンビニ人間」

・コンビニ人間 著者:村田沙耶香 ナレーター:大久保佳代子 出版:文藝春秋(audible版) 2016年芥川賞受賞作。 評判になったのは知ってたんですが、その中でストーリーに触れてる記事なんかも読んでたので、 「まあ、こんなもんかなぁ」 と思っちゃって、…

「ミステリー」は探偵の<過去>にある:読書録「殺しへのライン」

・殺しへのライン 作者:アンソニー・ホロヴィッツ 訳:山田蘭 出版:創元推理文庫(Kindle版) 「ホーソーン&ホロヴィッツ」シリーズ第3作。 ホーソーンとホロヴィッツはある島で開催される文芸フェスに参加する。 その島では開発絡みで深刻な住民たちの分…

オーディブック向き…というのは、意外に日本近代文学の成立につながるところがあるのかも:読書録「ミチクサ先生」

・ミチクサ先生<上・下> 著者:伊集院静 ナレーター:隈本吉成 出版:講談社(audible版) 「伊集院静」は最近、「大人の教養」シリーズがベストセラーになってますが、ちょっとそのことについては思うところがなきにしも。 だって、「伊集院静」といえば…

「ジョン・ウィック」、少し「グロリア」、そしてミッシェル・ヨー!:映画評「ガンパウダー・ミルクシェイク」

独特のルールを持った殺人組織に属していた殺人者が、「仕事」の過程で殺しちゃいけない人間を殺してしまい、結果、組織に見捨てられ、復讐の標的とされる …とまあ、どっかで観たような展開。 なにやら不思議な「施設」(本作では図書館)との関わり合いから…

「全体主義」的な風潮のリスクは感じられるところがある:読書録「ハンナ・アレント」

・今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢 著者:牧野雅彦 出版:講談社現代新書(Kindle版) <100ページで教養をイッキ読み! 現代新書の新シリーズ「現代新書100(ハンドレッド)」刊行開始!! 1:それは、どんな思想なのか(概論) 2:…

予想と1ミリも違いませんw:映画評「マリー・ミー」

ジェニファー・ロペス主演のロマンティック・コメディ。 世界的ポップスター・キャットは、人気歌手バスティアンとの結婚をコンサート会場で挙げる計画を立てていたが、その直前、バスティアンが自分の付き人と浮気をしていたことが発覚。 ステージに上がっ…

iPhone14をApple Storeで「機種変」しました。

iPhone14シリーズ。 「どうしよ〜かな〜」 と思いはしたんですけどね。 個人的には「2年ごと」に機種変していくパターンで、持ってるのが12Proだったで、タイミングではあったんですけど…。 正直いうと、デバイスとしての進化の魅力には「…」ではあります。 …

え?ここで終わんの?:ドラマ評「セヴェランス」

9月のAppleイベントの動画の最後に差し込まれてたのが、このドラマの「シーズン2」の予告か、あるいはARグラスの予告か…ってので、ちょっと話題になりました。 僕もイベント動画を見て、ちょっと気になって、第一話を観てみたら、 …これがマジで面白かった!…

題名は「偽悪的」っぽいけど、内容はそこまでじゃない:読書録「人は悪魔に熱狂する」

・人は悪魔に熱狂する 悪と欲望の行動経済学 著者:松本健太郎 ナレーター:神田武 出版:毎日新聞出版(audible版) マーケターであり、データーサイエンティストでもある作者が、行動経済学の視点から色々な事象を分析・解説した作品。 この本、発売された…

色んなフィクションを事例と引っ張って来てて、興味深く読めました:読書録「会話を哲学する」

・会話を哲学する コミュニケーションとマニピュレーション 著者:三木那由他 出版:光文社新書(Kindle版) 漫画、小説、演劇、映画…と色々なフィクションから事例を取り上げて、そこで交わされる「会話」について分析・解説した作品。 作者は「会話」を<…

ポリティカル・コレクトという物語、反PCという物語:読書録「ただしさに殺されないために」

・ただしさに殺されないために 声なき者への社会論 著者:御田寺圭 出版:大和書房 「テラケイ」さんのエッセイ集。 「善意」から生まれ、ある種の社会的マナーにもなりつつあるポリティカル・コレクトに対して、その視点からは見えてこない層の存在について…

ラッセル・クロウが楽しそう:映画評「ソー:ラブ&サンダー」

最初の「神話」路線からコメディ路線に変更した「マイティ・ソー」の最新作。 批評家の評判はイマイチだけど、興行成績はマアマア(出足は好調だったけど、下落率も高かった)…って感じだったのか? まあ、そんな感じの映画でしたw。 ストーリーはかなり「?…

こんな展開しようとは…:読書録「ハヤブサ消防団」

・ハヤブサ消防団 著者:池井戸潤 ナレーター:杉山怜央 出版:集英社(audible版) チョット行き詰まりを感じてたミステリー作家が死んだ父親の実家を相続し、東京から引っ越す。 田舎付き合いから地元消防団に加わることになってしまい、そこから思わぬ事…

なんかね〜、観終わるのが惜しくてね〜:ドラマ評「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」

評判の良い韓国ドラマ…ってのは知ってたんですよね。 「ど〜しよ〜かな〜」 …と10話くらいまで更新されるタイミングまでは逡巡してたんですが、チョット時間ができた時に1話観てみて… ハマりました。 主人公は自閉症スペクトラムの女性。 驚異的な記憶力でソ…

一枚上手の兄貴…ってのはホームズっぽいw:読書録「ファイナル・ツイスト」

・ファイナル・ツイスト 著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子 出版:文藝春秋(Kindle版) 「コルター・ショウ」シリーズ第3弾。 殺された父親が追いかけていた「陰謀」を巡る3部作のラストとなります。(シリーズは続いていますが) 父親が追い…

デジタルやAIを道具として使い切る:読書録「オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る」

・オードリー・タン デジタルとAIの未来を語る 著者:オードリー・タン、プレジデント書籍編集チーム 出版:audible 台湾のデジタル担当政務委員オードリー・タンについては、山ほど記事なんかは読んでるものの、まとまった書籍は読んだことなかったので、au…

車の運転中に聴くのに向いてる:読書録「きれいになりたい気がしてきた」

・きれいになりたい気がしてきた 著者:ジェーン・スー ナレーター:堀井美香 出版:audible ジェーン・スーと堀井美香のPodcast番組「オーバー・ザ・サン」は、夫婦してお気に入りのプログラム。 週末のドライブやリビングでのティータイムに二人で聴いてま…

ワンカット風「ジョン・ウィック」×1.5倍速:映画評「カーター」

記憶を失った男が、耳に入れられたマイクからの指示に基づき、囚われた少女を助け出し、一緒に逃避行する …という設定のNetflixオリジナル・アクション映画。 冒頭の襲撃シーンから、風呂場(?)でのヤクザ大殺戮シーンに一気に雪崩れ込むんですが、 「いや…

保守/革新の2大政党では政権交代を定着させるのは難しいと、僕も考えています:読書録「歴史検証 なぜ日本の野党はダメなのか?」

・歴史検証 なぜ日本の野党はダメなのか? 「自民党一強」を支える構造 著者:倉山満 ナレーター:菅沢公平 出版:光文社新書(audible版) audibleで題名を見て、「面白そう」と思って聴き始めたんですが、聴いてるうちに「?」な感じに。 なんか書きっぷり…

設定に凝った「クローズドサークル」シリーズ?:読書録「魔眼の匣の殺人」

・魔眼の匣の殺人 著者:今村昌弘 ナレーター:浅井晴美 出版:東京創元社(audible版) 「屍人荘の殺人」に続くシリーズ第2作。 前作はSFホラー的設定で「クローズドサークル」を作り出し、その異常空間の中で本格推理を展開するというアクロバティック的な…

「その後の有閑倶楽部」狙いで購入w:読書録「不倫、それは峠の茶屋に似ている」

・不倫、それは峠の茶屋に似ている たるんだ心に一喝!一条ゆかりの金言集 著者:一条ゆかり 出版:集英社 妻が一条ゆかりさんの「有閑倶楽部」の大ファンで、書き下ろしの「その後の〜」が読みたそうだったので、購入。 どっかのWebで連載されていた人生相…

簡単な話ではないけど、見捨てることは社会全体を脆弱化させるリスクにつながる:読書録「どうしても頑張れない人たち」

・どうしても頑張れない人たち ケーキの切れない非行少年たち2 著者:宮口幸治 ナレーター:斉藤マサキ 出版:新潮新書(audible版) 「ケーキの切れない非行少年たち」の続編。 前作が作者の体験から、認知障害を持った人たちの「生きづらさ」について分析…

「多様性」というのは、こういう立場の人たちを社会の中で「隣人」とすること:読書録「ケーキの切れない非行少年たち」

・ケーキの切れない非行少年たち 著者:宮口幸治 ナレーター:斉藤マサキ 出版:新潮新書(audible版) 少し前にベストセラーとなった新書。漫画化もされてるんじゃないかな? 「どうしよ〜かな〜」 と気にはなりつつ、手を出し兼ねてたんですが(もう続編も…

話、終わってないやん:読書録「優等生は探偵に向かない」

・優等生は探偵に向かない 著者:ホリー・ジャクソン 訳:服部京子 出版:創元推理文庫(Kindle版) 「自由研究には向かない殺人」に続く女子高生ピップを探偵役とする青春ミステリー第2作。 シリーズは3部作らしいんですが、本書は「続編」というより、前作…

ゾンビっぽいバンパイヤがワサワサ湧いてきます:映画評「デイ・シフト」

ジェイミー・フォックス主演のNetflixオリジナル映画。 家族に内緒でバンパイア・ハンター稼業をしている主人公が、ひょんなことからバンパイアの女王(?)の娘を退治してしまい… と言う話。 まあ、設定はありがち、ストーリーは雑…なんですが、アクション…

耳で聴くには情報量が多すぎるw:読書録「無理ゲー社会」

・無理ゲー社会 才能ある者にとってはユートピア、それ以外にとってはディストピア 著者:橘玲 ナレーター:寺田尚弘 出版社:小学館(audible) この本、発売された時に購入してるんですけどね。 ただ何となく手を出すタイミングがなくて、ズルズル…。 今回…

ありゃ?読んでなかったっけ?:読書録「ゴーストハント2  人形の檻」

・ゴーストハント2 人形の檻 著者:小野不由美 ナレーター:安國愛菜 出版:audible ティーンズ文庫で「悪霊」シリーズとして出版されてたのを2、3作は読んでたつもりだったんですが…。 少し前に読み返した1作目(旧校舎怪談)は読み返して、「あ〜、読んで…

答えはない:読書録「夏物語」

・夏物語 著者:川上未映子 ナレーター:ささきのぞみ 出版:audible 芥川賞を受賞した「乳と卵」を第一部として組み込み、第二部を加筆して長編とした作品。 評判が高いのは知ってたんですが、川上さんの作品は読んだことがなく(正確には村上春樹さんとの…

何とも、ドラマチックな…:漫画評「日本のいちばん長い日<上・下>

毎年、終戦記念日前後には第二次大戦絡みの本を読むことにしているのですが、今年はコレを。 星野乃宣さんが半藤一利さんの名著を漫画化した作品です。 大ファンって訳じゃないんですが、星野さんの漫画は昔からあれこれ読んでいます。 が、大半はSF・伝奇も…

ストーリーよりも「背景」の方が興味深い小説:読書録「辮髪のシャーロック・ホームズ」

・辮髪のシャーロック・ホームズ 神探福邇の事件簿 著者:トレヴァー・モリス 訳:舩山むつみ 出版:文藝春秋(Kindle版) ホームズのパスティーシュものは山ほどあります。 BBCのカンバーバッチのドラマが「ホームズが現代で活躍したら…」という設定で作ら…