鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

 良書。でもコロナ禍での考察は中途半端。:読書録「民主主義とは何か?」

・民主主義とは何か? 著者:宇野重規 出版:講談社現代新書(Kindle版) 「民主主義を信じる」 という立場の作者が、「民主主義」について、歴史的な流れを解説し、「今」を照射する構成の作品。 「歴史上、民主主義は長くネガティブに捉えられており、ポジ…

今のところ程よい「重さ」ですが、不穏な気配もw:読書録「P分署捜査班 集結」

・P分署捜査班 集結 著者:マウリツィオ・ジョバンニ 訳:直良和美 出版:創元社推理文庫(Kindle版) めっきり重くなっちゃった「特捜部Q」(しつこいw)と、コメディ感があって軽妙な「パリ警視庁迷宮捜査班」。 ナポリを舞台にした本作は、「その中間」……

その「希望」をどう評価するか:映画評「82年生まれ、キム・ジヨン」

日曜に、原作を読んでいる妻と娘と一緒に観に行きました。 我ながら勇気のあるw。 「フェミニズム」をめぐって、韓国で議論を巻き起こした原作の映画化ですからね。 でも「いい映画」だったと思います。 退屈しなかったし。 「悪い人」はいない。 いないんだ…

朝の通勤時間の選曲じゃないなw:村上RADIO第18回

例によって朝の通勤電車で聴いたんですが、この選曲は「夜」ですな。 絶対に。 ま、テーマが「秋のジャズ大吟醸」ですんでw。 例によっての丁寧な書き起こし&曲紹介がHPに。 今回は坂本美雨さんが参加してたんですが、書き起こしはそこら辺、あんまり拾って…

今更ながら…、オモロいわ〜:ドラマ評「アンナチュラル」

評判は知ってたし、脚本家(野木亜紀子)もちょっと気になってたんですが、なんとなく今までスルーしてたんですよね。 まあ、個人的に「石原さとみ」があんまり好みじゃないってのが、一番かなぁ…。 それが改めて妻に薦められて、なんの気無しに第一話を観た…

ガチなミステリーというよりは、コメディ寄りの楽しい物語って感じ:読書録「パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー」

・パリ警視庁迷宮捜査班 魅惑の南仏殺人ツアー 著者:ソフィー・エナフ 訳:山本知子、山田文 出版:ハヤカワ・ミステリ(Kindle版) 邦題がもう、「コメディ」寄りw。 はみ出し者を集めた特別班といえば「特捜部Q」シリーズですが、あっちがどんどんシリア…

西浦先生との対談が物凄く興味深かったです:読書録「丁寧に考える新型コロナ」

・丁寧に考える新型コロナ 著者:岩田健太郎 出版:光文社新書 ダイヤモンド・プリンセス事件(w)で「悪評」を買った岩田先生が、「新型コロナウイルスの真実」に続いて出版したコロナ本。 第一波、緊急事態宣言…を経て得た知見を踏まえて、新たに執筆され…

この時期に作られたことには意味がある:映画評「Fukushima50」

冒頭、いきなり「2011年3月11日 午後2時46分」のテロップ。 前置きなしで、東日本大震災が襲ってきます。 ここから福島原発を襲う津波、全電源喪失…と、次々に訪れる苦難、そこへ取り組む作業員たちの苦闘、官邸・本店との軋轢…と、スピードと緊張感のある展…

「カウンター・デモクラシー」という考え方は「実践」の面から興味深い:読書録「リベラルの敵はリベラルにあり」

・リベラルの敵はリベラルにあり 著者:倉持麟太郎 出版:ちくま新書 リベラルの中からリベラルの現状について批判的に評する動きが出てきてますが(「リベラリズムの終わり」とか、「なぜリベラルは敗け続けるのか」とか)、本書はそういう流れの中で最も「…

うわ〜、無茶苦茶オモロいやんか:映画評「シカゴ7裁判」

まあ、「法廷もの」って結構な確率で面白いんですけどね。 しかしその点を加味しても、これはかなり面白かったです。 2時間10分。 全然、退屈しませんでした。 観る前は、正直「お勉強モード」もあったんです。 ドキュメンタリーじゃないんで、「私はあなた…

鑑賞の一つの「尺度」として、面白かったです:読書録「絵を見る技術」

・絵を見る技術 名画の構造を読み解く 著者:秋田麻早子 出版:朝日出版社 絵画鑑賞に関しては僕は完全に「感覚派」(言い換えれば、「何も考えずに見る」w)なんですけど、そう言うスタンスでも、 「なるほどね〜」 って感心させられました。 「感覚派」と…

決めつけてるのは自分…と言うお話:映画評「アイ・フィール・プリティ!」

他人は外見で人間を判断する。 だから自分はイキイキと生きていくことができない。 …そう決めつけて、生き方を制約してるのは「自分自身」なんだよ というお話。 確かジェーン・スーさんがお勧めしてたんですよね。 それでprime Videoのマイリストに入れてた…

娯楽小説として申し分ないです:読書録「葬られた勲章」

・葬られた勲章<上・下 > 著者:リー・チャイルド 訳:青木創 出版:講談社文庫(Kindle版) トム・クルーズが映画化したことでも知られる<ジャック・リーチャー >シリーズの、日本翻訳の最新作。 日本では「最新作」ですが、本国で出版されたのは「2009…

「進めてみて、マズいところがあったら修正する」という線しかない:読書録「虚妄のIT立国ニッポン」

・虚妄のIT立国ニッポン 著者:新型コロナ問題取材班ほか 出版:宝島社 「技術のニッポン」 とか言って「過去の栄光」で自分を誤魔かすんじゃなくて、 「決定的にデジタル化は欧米にも、アジアにも遅れていて、ここで舵を取り誤ったら、国家としての衰退の道…

「大笑い」させてもらうつもりだったんですが…:読書録「悔しみノート」

・悔しみノート 著者:梨うまい 出版:祥伝社 <「ジェーン・スー生活は踊る」のお悩み相談コーナーから生まれた本> …ってことで、「これは楽しく笑えそう」と、深く中身もチェックせずに購入したんですが…。 …いやぁ、なんだろ。 笑えるとこもあるんですけ…

西欧的民主主義が日本には根付いていないから、日本らしい方法で…とか言い始めるとヤバイとは思ってます:読書録「たちどまって考える」

・たちどまって考える 著者:ヤマザキマリ 出版:中公新書ラクレ ヤマザキさんがそう考えてるって訳じゃないんですよ。 <ここまで書いてきて感じているのは、日本はもしかすると、成熟すること自体に興味がない国なのかもしれな、ということです。日本へや…

連作の色合いが強い新シリーズ:読書録「ネヴァー・ゲーム」

・ネヴァー・ゲーム 著者:ジェフリー・ディーヴァー 訳:池田真紀子 出版:文藝春秋(Kindle版) ジェットコースターっぶりは相変わらず。 大向こうを張るどんでん返しより、捻りとドライブが効いた展開。 …って感じでしょうか。 少し前なら「リンカーン&…

もう一歩、実務的なところに踏み込んだ話が聞いてみたい:読書録「共鳴する未来」

・共鳴する未来 データ革命で生み出すこれからの未来 著者:宮田裕章 出版:河出新書 「人新世の『資本論』」が、資本主義に対抗する新しい<コミュニズム>を打ち出してるのに対して、個人的には「(少なくとも日本では)まだ資本主義の枠組みでやるべきこと…

こっからやん!:読書録「死亡通知書 暗黒者」

・死亡通知書 暗黒者 著者:周浩暉 訳:稲村文吾 出版:ハヤカワ・ミステリ(Kindle版) 「一気に読んじゃう」 と評判の中華ミステリ。 一気に読んじゃいましたw。 「三体」同様、本作も3部作の一冊目。(主人公の「羅飛」のシリーズはもっと他にもあるよう…