鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

面白かったけど、こっから先がもっと知りたいんだよなぁ:読書録:サム・アルトマン

・サム・アルトマン 「生成AI」で世界を手にした起業家の野望
著者:キーチ・ヘイギー 訳:櫻井祐子
出版:ニューズピックス(Kindle版)

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最近、特にChatGPTにはお世話になっているので、その元締めであるサム・アルトマンがどういう人物かっていう点についても興味が湧いていました。
ちょうどそのタイミングで、この伝記が出版されたので、早速読んでみました。
いやー、めちゃめちゃ面白かったですね。
最近読んだ本の中でも一、二を争う面白さでした。


(ChatGPT)
本書は、サム・アルトマンの来歴を軸に、現代AI産業の設計図を読み解くノンフィクションである。
10代の位置情報サービス(Radiate/Loopt)から、Y Combinatorでの投資・育成、そしてOpenAI創設とガバナンス危機までを時系列に追い、“誰がブレーキを握るか/どこまで開くか/どれだけ走るか”という三つの問いを浮かび上がらせる。
扱う範囲は主に2024年ごろまで。
技術論だけでなく、資本調達、規制、同盟形成といった現実の力学を正面から描き、AIの光と影を同じページに収めた一冊だ。

 

と同時に、
これで終わり?ここから先が知りたいのに
っていう感じにもなっちゃいましたけどね。
話的には、生い立ちのところから2024年トランプ大統領が再選するあたりまでが描かれています。
焦点になっているのは、やはりOpenAIでのサム・アルトマンの解任騒動のところで、それの原因の大きな一つであったアルトマンの人格的な問題っていうのを描くために、その人生を追っているっていう感じもありますかね。

 

あの解任騒動のポイントは、要は、
この人物に人類にインパクトを与えるAGIの開発を任せていいのか
というところにあったと思うんですが、じゃあ僕自身がどう考えるかというと、そこのところは留保せざるを得ないっていう感じですかね。
解任騒動自体はサム・アルトマンの人間的な弱さみたいなものが影響してるっていうのはあるんですけれども、それをもってして解任までするのが妥当だったかどうかっていうのはかなり怪しいです。
閉鎖的だというアルトマンを批判した理事会自体が閉鎖的なアクションをしてしまったっていうところもありますから。
ただ危惧を抱かざるを得なかったってのも分からなくもない…
でももう分水嶺は超えちゃったなぁって感じかな。


僕がこの本を読んでいて一番困ったのは、初期のアルトマンの成果であるLooptのあたり、それがどういうサービスであったか、それがどれくらいのインパクトをアメリカ社会に与えていたのかっていうのがよくわからなかったっていう点です。
そこら辺を確認するためにChatGPTに聞きながら読み進めるスタイルになったんですけど、Looptがどういうインパクトがあったのか、例えばジョブズとの関係とか、AppStoreのスタート時点でどういう立ち位置にあったかとか、色々教えてくれて助かりました。


それをきっかけに、1章読むごとに、いろいろ質問やら何やらをChatGPTに確認しながら読むスタイルでやってみました。
おかげで本を読む理解が進んだっていうのもあったと思いますね。
たとえば解任騒動にも大きな影響を持つ「EA(効果的利他主義)」がどういうものかなんていうのも、読んだだけじゃちょっとよくわからなかったですけれが、背景とか現状とか、色々補強してくれましたからね。
新しいChatGPTを使った新しい読書体験というものを試してみたっていうのもあるかなぁ。
ちょっと前からそういうことを進めているんだけど、今回みたいに本格的にやったのは初めてだったという意味ですね。


OpenAIについて面白いのは、そのスタートがAGIに対する危機感からスタートしているということです。
まあイーロン・マスクとアルトマンの対立に関して言うならば、マスクもAIを自分で作りたいからじゃないかっていうのも思ってたんですけど、(それも絶対にあるけどw)単にそれだけではない経緯があるのが分かります。
ただそういうAGIに対する危機感からスタートしているのが、実際に生成AIが現実化して来ると、その魅力にイーロン・マスクもサム・アルトマンも,のめり込んでいってしまったっていうのはちょっと面白いといえば面白いですね。
そしてそのことがある意味理事会との対立にもつながったとも言えるわけです。


ここに出てくるアルトマン自体のキャラをどういうふうに整理するかというのはいろんな見方があると思いますけれども、まあ他のITの巨人たちと比較すると、スティーブ・ジョブズに近いかもしれませんね。
エンジニア気質がありながらも、基本的にはプロデューサーとしての能力が極めて高いっていう点で。
プロデューサーとして能力が高いっていう点で言うと、ジェフ・ベゾスなんかもそうだと思いますが、ベゾスよりも明らかにエンジニアとしての性格が,強いですからね。
まあマスクなんかに比べると、マスクはプロデューサーとしてもすごいけどエンジニアの方もなかなかってところがありますから。
エンジニアとしてはMicrosoftのビル・ゲイツよりは、アルトマンの方がエンジニア技術は弱いかもしれません。
共通するのは、みんなお近づきになりたくないってことくらいかなw。


生成AI、それからAGIへの道筋っていうのが大量のチップと電力を作る巨額の資本が必要な延長線にあるということが明らかになってくることによって、エンジニア的な気質よりも、プロデューサー的気質=どれだけ資金を集めるのかっていうのが重要になってきたっていうのが、サム・アルトマンを押し立ててきたっていうのはあるんでしょうねぇ。
技術の方にウェイトがあった理事会の思惑が破綻したのもそれはやむを得なかったとも。
だってそっちの方向じゃないことが重要視されることが見えてきたところだったんだから。


本書は2024年トランプが再選されたところで話が終わっています。
いやでもここから先が生成AIは面白いんですよね。
Chat GPT4o、Chat GPT5,さらには、GoogleがGeminiでかなり本格的に追い上げてきている中でどういうふうなスタンスをしていくか、
さらにChatGPTが個人向けのサービスを強化していくのと同時に、研究分野やビジネスで今後どういうふうに展開していくのか、
いやもうほんとね。
これが一番面白そうなんですが、そこはここでは描かれていません。
うーん、残念。
そこが読みたいんだよなぁ。


まあでもこれはまた別の話っていうことになるんでしょうね。
その時どういうふうにサム・アルトマンが評価されるようになっているのか、それはそれで楽しみですな。
その前にAGIが来ちゃったりしてw。


#読書感想文
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