鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

車の定期点検を待つ間に読み終えましたw:読書録「デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界」

・デヴィッド・ストーン・マーティンの素晴らしい世界
著者:村上春樹
出版:文藝春秋

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アルバムジャケットを紹介する村上さんの作品としては「古くて素敵なクラシック・レコードたち」「更に古くて素敵なクラシック・レコードたち」があります。
2作とも「なるほどね〜」とパラパラ眺めつつ斜め読みはしたものの、個人的にはクラシックとブルーズには足を踏み込まないようにしてるので(キリがないからw)、楽しむところまでにはいかず。
「どうせならジャズでやってくれたら…」
と思ってたら、やってくれました。

デヴィッド・ストーン・マーティン。(DSM)
よ〜知りませんでしたが、ヴァーヴなんかを作ったノーマン・グランツと組んで、(専属ではないけど)アルバムジャケットのデザイン(イラストも)をやってた方とのことです。
本作では村上さんの手持ちのDSMデザインのレコード188枚が紹介されています。
「手持ち」なんで、完全にDSMの作品をフォローしてる訳じゃないけど、


<本書はあくまでも、DSMのデザインしたジャケットをひとつの柱として、僕がジャズへの想いを自由に語る本、という風に考えていただけると嬉しい。>


ま、そう言う本です。
「ポートレイト・イン・ジャズ」のバージョン違いみたいなもんかな?w


構成としては主にミュージシャンごとにまとめてDSMのデザインしたアルバムを紹介。
それぞれのミュージシャンなんかに関する村上さんの蘊蓄やら想いやらが綴られています。
僕のジャズ歴はマイルス・デイヴィスから深掘りしていったミュージシャンたちや、レーベルではブルーノートが多いので(これもジャケ買いから始まってるんですがw)、若干ズレはあるかな〜。
年代的にもちょっと(本書で取り上げられる作品の方が)早い。
「早い」って言っても、10年もの差はないんですけど、その10年でどれだけジャズが変容したか…ってのは別の話w。


Amazonからこの本が届いたのがちょうど車の定期点検に出る直前。
そのままディーラーまで持って行って、点検が上がるまで、iPhoneでオスカー・ピーターソン、スタン・ゲッツ(どちらも本書に登場します)を聴きながら本書を読み、点検終了までに読み終えてしまいましたw。
まあ、「読んで終わり」って本じゃなくて、パラパラ収録されてるジャケットは今後も見返すと思うので、それはそれでいいんですけどね。
うん、なんかいい時間を過ごさせてもらいました。


いやぁ、村上さんのジャズ話はやっぱりいいなぁ。
これに続いて「ブルーノート」(ウルフの写真と、リード・マイルスのデザイン)でやってくれないかな〜。
…多すぎて、収拾がつかない?w

落語ネタが多いねw:読書録「中野のお父さんと五つの謎」

・中野のお父さんと五つの謎
著者:北村薫
出版:文藝春秋

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高校教師のお父さんと編集者の娘のシリーズ第4弾。
第4弾?
3作目読んだっけ?
…と思ったら、読んでました。「中野のお父さんの快刀乱麻」。
面白いんだけど、すぐに内容忘れちゃうんですよね〜
…って、前作読んだ時も書いてました。
<円紫さん>シリーズだと、どこか<人の闇>みたいなところに触れるとこがあるんですが、こっちの方は割と無邪気に「文芸ネタ」で楽しませてくれるんですけど、それだけにインパクトが薄いんですよね。


本作に収められているのは5つの短編。


「漱石と月」:<I love you>=<月が綺麗ですね>と漱石が訳したという「都市伝説」に関するあれやこれや。「銀の匙」につながるところがミソ。
「清張と手おくれ」:「点と線」を巡るあれやこれや。ポイントは<同時代>…かな?松本清張はミステリー作家じゃないんですよね。本質的に。
「『白波看板』と語り」:鬼平の先ぶれとなる短編「白波看板」と三遊亭圓生の話。確かに池波正太郎は楽しんだんじゃないでしょうかね。
「煙草入れと万葉集」:久保田万太郎、桂文楽、圓生をめぐっての「煙草入れ」推理から、<万葉集>の読み方に話が流れ、「落語」の伝承の話に。
「芥川と最初の本」:芥川と圓右の話に、正岡容が絡んできて、芥川と漱石の話に。一周回って「漱石」なのは狙い…?


個人的には「煙草入れと万葉集」が好きですね。
このシリーズ、そこまで心動かすもんじゃないんですけど(失礼)、ここで語られる「伝承」の話にはジンとくるものがありました。
まあ、古今亭志ん朝が「すげえイイ人やった」っちゅう話かもしれませんがw。(前作でも志ん朝は登場してた…はず)
「何を受け継いでいくのか」
「何をアップデートしていくのか」
立川談春さんなんか見てても、落語家にとってこれは大きいテーマなんでしょう。
「白波看板」と「煙草入れ」の2作はそこら辺に踏み込んだ好編と思います。
ま、単に僕が「落語好き」なだけかもしれませんがw。


続編。
ありますよね。
楽しみです。
読む時には本作のネタとか忘れちゃってるかもしれませんがw。

本の感想じゃないですw。:読書録?「シニアエコノミー」

・シニアエコノミー 「老後不安」を乗り越える
著者:大前研一 ナレーター:デジタルボイス
出版:小学館新書(audible版)

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「超高齢化社会」を迎えた日本において、シニア層をターゲットとしたビジネスを立ち上げることで、日本社会の活性化を図る…と言う内容。
まあ、今まで大前さんが言ってきたことをわかりやすく整理しなおした…って感じですかね。
週刊誌連載や講演をベースにしているようです。
もっとも「ビジネス」がメインで、<「老後不安」を乗り越える>って部分はあまりフォーカスされていませんがw。


…てなことはともかく、僕が本書をaudibleで聞いてみたのは、ナレーターが「デジタルボイス」になってたから。
小説とかの場合は感情移入の問題もあるので声優さんに比べてデジタルボイスはどうかなと思うんですが、ビジネス書なんかは割といけるんじゃないかと。
以前から僕自身、Kindleの読み上げ機能とか使ってますからね。

 


結論から言えば、
「問題なし」。
Kindleの読み上げで小説なんかを読んでた経験から考えると、
「小説も意外にいけるのでは?」。
難読漢字も問題ないし、読み間違えもなくなりますからね。
Kindleの読み上げで問題なかった人にとっては「大いに前進」ってところでしょう。
もちろん声優の方が小説世界への没入感は数段上になりますけどね。
ビジネス書ならコレで全く問題ないです。

 


さすがにデジタル音声化するにあたっても人力での手は入ってると思うんですが、声優に読んでもらうより、デジタルボイスを使う方がオーディオブック化は早くできるんでしょうかね。
だとすると、audibleの成功度合いによっては、ビジネス書を中心にデジタルボイスによるオーディオブック化はどんどん進んでいくかも。
実際、今回小学館新書はデジタルボイスでaudible化を何冊かしています。
オーディオブックを楽しんでいる僕にしてみれば朗報。
…だけど、それが声優さんの仕事を奪っていくとしたら、それはそれで寂しい…。
ただコレってオーディオブックのコストにも関係してくるしなぁ…。
難しいところです。

 

 

これ、終わってないですよね?:ドラマ評「殺し屋たちの店」

Disney+で配信されている韓国ドラマ(全8話)。
「トッケビ」で<死神>役を演じていた二枚目イ・ドンウクが謎多き叔父チョン・ジンマンを演じます。
…って、僕は「トッケビ」は見てないんですけどねw。
ネットの評判が良さそうなので見始めて、ラスト(?)までお付き合いしました。

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両親と同居していた祖母の死後、叔父のチョン・ジンマンに育てられていたチョン・ジアンの元に、チョン・ジンマンが自殺したとの知らせが来る。
故郷に帰ったジアンは、叔父が自宅で銃器等を闇サイトを通じて販売していたことを知る。
混乱するジアンを、さらに殺し屋たちが襲撃してくる。
ジンマンの仲間、ジアンの幼なじみ、傭兵や殺し屋たちが入り乱れる中、ジアンは生き残りの術を叔父から教えられてきたことに気づき、叔父の<過去>を知ることになる…

 


メインとなるストーリーはシンプルで、
「自宅の倉庫(ここが武器庫になっている)に退避したジアンを、傭兵たちが襲撃してくるのを撃退する」
と言うもの。
ここに
・両親が死んだジアンをジンマンが引き取って育てる
・ジンマンがジアンに「身を守る術」を教える
と言う過去が並行して描かれ、さらにそこに
・ジンマンの過去
・ジンマンとベイルという傭兵の因縁
が重なり、
この<ジンマンvsベイル>の戦いが過去から現在に至るまでいかに影響しているかが、解き明かされる構成になっています。
ここら辺の錯綜ぶりが「複雑なんだけど、謎解きっぽくて面白い」ってことになります。

 


ま、正直いうと、前半はちょっとこの<行きつ戻りつ>がテンポを悪くしている感じもあって、ちょっと退屈でもあったんですけどねw。
それが4話のラストで「ある人物」の裏切りが明らかになって、そっからジンマンの過去が解き明かされ…とラストまで一気でした。

 

登場人物たちのキャラ立ちもなかなかのもので楽しませてくれます。
「ミンヘ」なんかは、「こう言うの好きでしょ〜」って製作陣のいやらしい目配せもわかるんですが、まあ「好きですよ。それが何か」w。
ジアンと最後対決する「ソンジョ」なんか、実力はむちゃくちゃあるけど、どっかいかゲンなとこもあって、それでいて独自の哲学も持ってる…って「美味しい役」。
ジアンの幼馴染の「ジョンミン」もねぇ…

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…でもこれ、終わってないですよね。
ラストショットを考えたら、本作の最後の<対決>の裏では別の激闘が繰り広げられてますよね。
そっちの方はどうなったの?
もしかして「シーズン2」とか…?


と言うことで見終わったらモヤモヤ…って作品でもありました。
好きですけどね〜、こういうの。

シリーズ第3弾…なのかな?:読書録「黙示」

・黙示
著者:今野敏 ナレーター:水越健
出版:双葉文庫(audible版)

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警視庁捜査3課の萩尾・武田コンビの活躍を描くシリーズ第3弾。
…なんですが、ちょっと前2作とは趣気が違うかな?
前2作についてはテーマに「師弟」「継承」と言ったものがあって、職人的な側面を持つ盗犯を追う二人の姿に、彼ら自身の<師弟関係>と<継承>が重ねられてたんですが、本作についてはそこら辺の気配はあまりありません。


IT長者の自宅で盗難事件が発生したとの報告が入る。
駆けつけた萩尾・武田らに被害者は「何が盗まれたか」をハッキリ言おうとしない。
やがて盗まれたものは<ソロモンの指輪>であることが明かされる。
盗難の翌日に自宅が荒らされたこともあり、捜査1課とも萩尾は情報を共有することとする。
被害者は盗難捜査と警護を兼ねて石神と言う探偵を雇い、やがて萩尾たちと因縁浅からぬ贋作師・音川までも姿を現す


1作目・2作目に登場した捜査1課のイケすかないコンビや、警備会社の元・警官、贋作師らが顔を出し、何やら「顔見世興行」的な仕立てに。
シリーズ新登場の「石神」と言う探偵は、どうやら今野敏の別シリーズの主人公らしく、そのシリーズでは<ソロモンの指輪>のような伝奇的なテーマが扱われている模様。
…と言う訳で、主人公が萩尾なのは確かなんですが、シリーズとしてはちょっと毛色の変わった雰囲気になっています。
容疑者全員を集めての推理披露…なんてシーンまでありますからねw。


もしかしたらシリーズにひと段落つけるつもりで、こう言う<特別編>みたいな作品にしたのかも知れませんね。
今野さん、ヤマほどシリーズ抱えてらっしゃりますから。
それはそれで仕方ないかもしれませんが、ちょっと残念な気分も。
音川とか、いいキャラなんですよねぇ。


まあ、気が向いたらシリーズ再開するかもしれませんし、他のシリーズ作品に本作のキャラクターが登場することもあるかも。
本作にだって、石神って別シリーズの主人公が登場してるんですから。
そう言う楽しみがあるのも今野敏作品。
期待せずに待ちましょうかねw。

「不在」のプリンスの存在感と、ディランとスプリングスティーンの重み:映画評「ポップスが最高に輝いた夜」

評判の良いドキュメンタリー映画をNetflixにて。
「We Are The World」が録音された1985年1月28日の夜を中心に、この曲が成立した過程を振り返っています。

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いやぁ、評判通り面白いっす。
巨大になったw今のライオネル・リッチーがメインとなって話を進め、ケニー・ロギンス、ヒューイ・ルイス、シーラE、シンディ・ローパー、ブルース・スプリングスティーンたちが当時を振り返ります。

まあ、曲そのもののインパクトもあるし、錚々たるメンバーが揃っての録音なので見てるだけで楽しいってのはあるんですが、リアルタイムで当時を知ってる者として、
「ああ、そうなんや」
とちょっと認識を新たにしたことをチラホラ…

 

 

プリンスは来ることが期待されていて、来なかったのでヒューイ・ルイスが代打でソロを取った→プリンスの恋人シーラEのちょっと切ない回想。そしてヒューイ・ルイス、ええやっちゃ。
ボブ・ディランは終始不機嫌そう。なんでこんなとこに引っ張られたのやら→不機嫌というか、所在なさげ。彼自身はこの取り組みを真摯に捉えていたし、周りも彼のことを重視していた。なので彼のパートのシーンはちょっと感動的だし、子供みたいに喜ぶディランに嬉しくなる。
ブルース・スプリングスティーンはちょっとこのメンツの中じゃ浮いてない?仲間に入れてたのかな?→むっちゃ馴染んでたw。むしろ彼をどうやって組み込んでいくかに重点が置かれていた。

 

 

「We Are The Worldの呪い」と言う見方もあるくらい、このタイミングってアメリカの音楽シーンの分岐点でもあるんだけど、今こうやって振り返るとそこまで「呪い」って感じでもないかな〜と感じます。
まあこういう音楽(ポップス)に対する無条件にポジティブな想いっていうのは、今はないかも知れんけどね。

 

 

あの時代を知っている人なら一見の価値は間違いなくある作品です。
しかしライオネル・リッチー。
顔デカいよ。

「京都」と言う土地が呼び込む不思議:読書録「八月の御所グラウンド」

・八月の御所グラウンド
著者:万城目学 ナレーター:高坂篤志
出版:文藝春秋(audible版)

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直木賞を受賞したことはもちろん知ってたんですが、手に取るきっかけは父の七回忌で会った妹が薦めてたから。
調べたら早々にaudibleになってたってのもありますw。


万城目さんの作品は「鴨川ホルモー」と「プリンセス・トヨトミ」くらいかな、読んだことがあるのは。
印象はあまり強くない。
でもこの話はものすごく面白かったです。
関西で生活するようになって、「京都」が身近になってる…ってのも大きいかも。


女子全国駅伝でピンチランナーとして出場した絶望的に方向音痴な女子高生が出会う<ライバル>と<不思議>
彼女に振られた大学生が、借金の返済のため、御所グラウンドで開催される草野球大会に参加する羽目になり、そこで<烈女>中国人留学生と一緒に探るメンバーの<不思議>


「京都」という歴史の積み重ねのある土地で、「青春」と言う時間を過ごす主人公たちが、時代を超えて別の「青春」の残滓とすれ違い、触れ合う<不思議>の物語。
…そんな感じでしょうか?


個人的には「女子駅伝」の話の方が好きかな。
この<距離感>がいい。
「御所グラウンド」の方は、すごくいい話なんだけど、少し「語り過ぎ」な気もする。
ラストの大文字焼きのシーンは、もっと抑えた方が…
って、同じような題材の「シューレス・ジョー」(フィールド・オブ・ドリーム)なんかに比べたら、それでも随分「抑えて」るんですけどねw。
ラストの切り方は僕は「正解」と思います。


「京都」との距離感によっては、ちょっとその「特別さ」が鼻につくかも知れませんw。
ここら辺はなんとも言い難いところ。
僕は好きですね。
京都の町屋の間を歩き回ってると、ふっと感覚が遠のくようなところもあって、その雰囲気にこの作品は重なるところがあるようにも感じます。
その感覚は「京都人」のものではなくて、「旅人」の感覚でもあるんですが…。


良くできた作品です。
他の万城目学作品も読んでみた方がいいかな?