・仲代達矢が語る日本映画黄金期 完全版
著者:春日太一
出版:文春文庫
- 作者: 春日太一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2017/09/05
- メディア: 文庫
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デビュー作と言われる(ほんとのデビューは別らしい)「七人の侍」が1954年。
僕は65年生まれだから、もちろん「同世代」ではないんだけど、名画座やレンタルで追いかけて、結構代表作は見てるかなぁ。
キーとなる一番の作品である「人間の條件」は観てないから、ファンとは言えないと思いますがw(第6部まであるからねぇ)。
黒澤明、小林正樹、岡本喜八、成瀬巳喜男、五社英雄、
三船敏郎、勝新太郎、萬屋錦之介、丹波哲郎…
まあ、「日本映画史」を「現場」から語らせるなら「この人」なのは間違いないでしょう。
勝新や松方弘樹の伝記なんかは、それはそれで面白いんですが、あれは「現場」の破天荒を楽しむもの。
一歩引いて、冷静に、それでいて「熱」を持って語らせるなら、「仲代達矢」ですわ。
「常識人」とは思いませんが(本人も自覚されてます)、それでも勝新に比べたら…w。
そこは「映画人」でありながらも「演劇人」でもあったという、独特のポジションによるものなんでしょうが。
いや、無茶苦茶面白い作品なんですけどね。
仲代達矢は、今後の日本映画、時代劇の行く末を憂慮されています。
その気持ちはすごくわかるし、おそらくその危惧の通りかつての日本映画を支えていた土台は崩れて行かざるを得ないでしょう。
しかしそれもまた仕方がないんだろうな、と僕は思います。
かつての「現場」は無くなっても「フィルモグラフィー」は残ります。
それを観た次の世代が、工夫と情熱を持って、新しい「現場」を作り上げていく。
そうあってほしいし、そうあるしかないでしょう。
寂しい気持ちはありますけどね。