・町山智浩・春日太一の日本映画講義 戦争・パニック映画編
著者:町山智浩、春日太一
出版:河出新書
「時代劇編」に続く日本映画紹介対談。
<「時代劇編」読書録>
http://aso4045.hatenablog.com/entry/2019/06/27/195233
取り上げられてるのは、
・人間の條件
・兵隊やくざシリーズ
・日本のいちばん長い日
・激動の昭和史 沖縄決戦
・日本沈没
・新幹線大爆破
・MIFUNE:THE LAST SAMURAI
「人間の條件」と「沖縄決戦」は観てないですね。
「兵隊やくざ」は何作かは。
「沖縄決戦」は観たい気分もありますが、「人間の條件」は多分観ないw。
取り上げられた作品の中で、最も「観るべき作品」とは思うんですが、なんか息苦しくって…。
ただまあ、日本の戦争映画ってのは、その「息苦しさ」をどう扱うか…ってのが課題でもあったんだなとは思いますよ。
実際に従軍経験のある監督・役者・スタッフ。
それぞれが抱えてたものが、どうしても滲み出てくる。滲み出てくるんだけど、それをエンタメに昇華させてもいる。
それはまあ、「時代の軛」でもあるので、「今」には「今」のやり方ってのがあるんでしょうがね。
(そう言う意味じゃ原田監督の「日本で一番長い日」のリメイクや「検察側の証人」なんかはそう言う作品かも)
ラストに置かれたのが最近作のドキュメンタリー。
戦後の時代劇、戦争映画、そこに流れる戦争経験…と言うことを考えると、それを象徴する存在として「三船敏郎」が…と言うことでしょうか。
<「MIFUNE」映画評>
http://aso4045.hatenablog.com/entry/2019/04/26/210914
「赤ひげ」以降、なぜ三船は黒澤作品に出ることがなかったのか。
色々伝説めいた話はありますが、春日さんが一つの「答え」を話しています。
要は、
「三船プロの経営のためには、拘束期間の長い黒澤作品には出演できなかった」
<春日:ではなぜ黒澤は三船敏郎を使わなかったのか。使いたかったんですよ、本当は。松田美智子さんの評伝によれば、黒澤はオファーしているのに三船側が断ってるんですよ。なぜかというと、三船敏郎は三船プロダクションの社長になっているからです。
(中略)
「黒澤さんとやっていただく力が三船プロにはなかった」という言い方を三船はしてるんですよ。>
「デルス・ウザーラ」も、「夢」も、「影武者」も、「乱」も、「まあだだよ」すら、三船で撮られていた可能性があるということ。
そのこともに頭がクラクラするし、そうならなかったことが、「日本映画」の歴史そのものでもあるのだ、と。
そんな想いを抱かせて、本書は終わります。
う〜ん、この二人の話は面白いなぁ。
「日本映画」じゃなくてもいいんで、続編期待っす!