・人口減少時代の都市 成熟型のまちづくり
著者:諸富徹
出版:中公新書
「生産性」に関する考察を読んで、
http://aso4045.hatenablog.com/entry/2018/04/19/200015
ではそれを踏まえて「地域」は具体的にどうなるのか?
を考えるために購入した本。
…なんかじゃ全然なくてw、「人口減少」については課題認識があって、それで書店で見かけて購入したものの、異動のバタバタで放置してたのを、ここに来てようやくユックリ読むことが出来た…ってトコです。
まあ流れとしては悪くないと思いますが。
論調としては、
「人口減少時代を迎え、人口ボーナス期の生産社会資本への投入から、生活社会資本、人的社会資本への投入に切り替えていく必要がある」
って感じかな?
<求められるのは、人口減少をむしろチャンスととらえ、「この機会をまちづくりにとってプラスに転化するにはどうすべきか」という発想である。人口減少局面のいまこそ、急速な都市化と人口・産業の集積で、高度成長期には手がつけられなかったさまざまな問題を克服し、人々の生活の質を向上させる絶好のタイミングではないのか。>
ここら辺、この本や番組にも通じるかと。
「縮小ニッポンの衝撃」
http://aso4045.hatenablog.com/entry/20170820/1503235056
本書は戦前の関一の大阪市政、戦後の美濃部都政、宮崎・神戸市政などの歴史的事例を紹介しつつ、世界(特にドイツ)や国内(富山、丸亀)での「縮退戦略」の具体例を引き合いに出して、人口減少時代の都市戦略の方向性については論じているあたり、もうちょい視野が広い感じ。
いや、実に興味深かったですよ。
単純なコンパクトシティ推進に小さくまとまってないあたりも評価ポイントだなぁ。
(お隣だった富山のコンパクトシティ戦略については、
「観光客も含めた集客という点では金沢には敵わんなぁ」
と見てたんですが、住民の生活の質という点に焦点を当てた場合は、また違った見方になりますね。
むしろ観光客誘致に下手に成功しただけに、金沢はこっちの方は難しい局面に入っちゃったかも…)
コミュニティの充実の難しさは「縮小ニッポン」でも思ったトコですが、その財源として本書があげる「エネルギー事業」。
これがまた難しい。
しかし(エネルギー事業かどうかは別として)何らかの安定的な財政基盤が必要なのは、過去や諸外国・国内事例を見ても明らか。
ここら辺を如何にして「生産性」高く組み上げていくのか?
ポイントはココかと。
一言で言えば「地方創生」なんですが、ココまでの課題認識をしっかり関係者が持ってるのかどうか…。
そう言う意味では「地方創生」にたずさわる方、特に自治体関係者は是非ともご一読頂きたく。
*4/21日経記事
コンパクトシティーに逆行
自治体、郊外開発を黙認 インフラ負担減らず
https://r.nikkei.com/article/DGKKZO29624670Q8A420C1MM8000?s=2