鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

ヒーローのわけ

アカデミー賞を助演男優/女優で受賞した作品。
「ごもっとも」
って感じでした。

「ザ・ファイター」


事前情報だと(町山さんのポッドキャストとか)、
「過去の栄光にすがったヤク中の兄を持ったボクサーが、兄の栄光の虚飾がはがれたとき、自ら立ち上がり、家族と地域の誇りのためにボクサーとしての挑戦に踏み出す」
みたいな話かと思ってました。
ま、ちょっと「ロッキー」っぽいですねw。


勿論、そういう話でもあるのですが(兄の名誉が傷つけられたあと、静かに主人公がトレーニングを開始するシーンはグッときます)、「それだけじゃない」ってのが本作。
助演賞の意味もそこにあります。


この全くのダメ兄貴を、なぜ主人公は「ヒーロー」として尊敬するのか。
それは過去の幻影を追っているだけに過ぎないのか?


主人公の大舞台を前にした「ドラマ」でそれが明らかになります。
はっきり言って、映画の真のクライマックスはここでしょうね。
自らの誇りを持ち続けながら、自分の力の限界も確認し、それでも弟のために行動する「ダメ兄貴」の後ろ姿は、感動モンです。
いつだって、闘う相手は「自分」なんだよなぁ・・・と。


ラストにモデルとなったホンモノの兄弟が登場するんですが、クリスチャン・ベール演じる「兄」が、映画まんまのチャラいキャラクターなのには笑わされました。


泣ける?
確かに。
でも安っぽい「お涙頂戴」じゃありません。
なかなか骨のある一作でした。