・ミレニアム5 復讐の炎を吐く女<上・下>
著者:ダヴィッド・ラーゲルクランツ 訳:ヘレンハルメ美穂、久山葉子
出版:早川書房
シリーズ第5作。
新しい作者が引き継いでからは2作目になります。
前作は、世界的ヒットになった作品を新しい作者がどう受け継ぐか、が注目の的でしたが、そこは上々であったか、と。
ハリウッド映画化第2弾に選ばれたくらいですしね。
で、本作も世界的にヒット、ということで「お楽しみ」だったんですが…。
個人的には「もう一つ」かなぁ。
何より作品の構成が凝り過ぎ。
現在の物語に、メインとなるある裕福な経営者の過去、リズベットが獄中で知り合う女囚の過去、そしてリズベット自身の過去が並行して描かれます。
それぞれが細切れに描かれ、錯綜しつつ進行するんですが…これが煩わしいw。
少なくとも終盤までアッチャコッチャの構成にしちゃったのは、物語のドライブ感と言う観点からも大きなマイナスだったと思います。
こう言う作品構成はこのシリーズっぽいとも言えるんですが、ちょいとやり過ぎじゃないかなぁと。
しかもその割にインパクトはあまりない。
(もちろんこのシリーズにしては…で、現実にあったら、そりゃ劇的な話ではありますが)
リズベットともねぇ。
導入の彼女の活躍(暗躍)は「お?」って感じでしたが、釈放後はどうかなぁ。ボロボロになっちゃうのは「お約束」かもしれませんが、今までのリズベットにしちゃあ迂闊過ぎるんじゃないかと。
妹の登場もなく、シリーズとしては「中だるみ」な印象。
これこそ「ミレニアム」らしくない!
少なくともリズベットを陥れる勢力には妹の存在をもっと強く打ち出すべくでしょう!
新シリーズも3部作らしいんで、次もあるんでしょうね。
妹との決着がメインになる(はず)なんで、是非ともドライブ感タップリに描いて欲しいものです。
余計な因縁話はもう十分ですw。