鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

3月11日に漫画を読む

3月11日に読んだ漫画2冊。
別に用意してた訳ではないんですが、出版がそういうタイミングになったからでしょう。
そしてそれに相応しい読書にもなったような気がします。



・さんてつ 日本鉄道旅行地図帳 三陸鉄道 大震災の記録
著者:吉本浩二
出版:講談社



・なのはな 萩尾望都作品集
著者:萩尾望都
出版:小学館



「さんてつ」は、震災に見舞われた三陸鉄道の苦難と、(端緒に着いたばかりではあるが)復興の足取りを描いたノンフィクション漫画。
「ブラックジャック創作秘話」の作者が、古臭いけど(失礼)、熱の籠った筆致で描いています。
地震と津波に教われ、ズタズタにされた三陸鉄道と、その周辺の物語は非常に痛ましいものです。
現時点でも、その前に横たわる障害は、まだまだ大きいと言わざるを得ません。



しかしながら「何をすべきか」が見えているのも事実。
ラストの台詞。



<やがて
春に・・・
その日が来るのを
信じて・・・>



そこには希望を確かに読み取ることが出来ます。



一方で「なのはな」が描くのは「原発」(核)。
そこにあるのは「恐怖」であり、「不安」であり、そして「困惑」です。
勿論、萩尾望都が素晴らしい漫画家であることに、僕は疑いを持ちません。
しかしこの題材をこのタイミングで描くことが果たして・・・という想いは残りました。
あまりにも主張が「生」過ぎるのでは、と。



しかし考えてみれば、「原発」や「核」というのはそういうモノなのかもしれません。
一歩引いて・・・と言っても、2万4千年後に生き残っている者はいません。
「少し事態が落ち着き、冷静な視線で見れるようになってから」
では、今我々が晒されている「不安」や「困惑」をすくい取ることは出来ないでしょう。
萩尾氏が取り組んだのは、そういうことなのかも・・・と今は考えています。



東北の復興。
原発の混迷。



これは正に今の日本の状況ではないでしょうか?
2冊併せ読むことで、図らずもそんなことを考えさせられました。