・成瀬は天下を取りにいく
著者:宮島未奈
出版:新潮社
「今の子は<コロナ>で充実した学生生活を送れなくて可哀想だよな〜」
と言うのは、まあ客観的にはそうなのかもしれませんが、言ってどうなるもんでもないし、その環境の中で、彼らは彼らなりの「毎日」を過ごしている。
それを若干の上から目線的に憐れむをように言ったってなぁ…
と個人的には思ったりしています。
彼らだって言われたくはないだろうし。
と言う訳で、「コロナ禍」で中学2年から高校3年までを過ごした滋賀県大津市在住の女子学生「成瀬あかり」の日々を描いたのが本作。
閉店が決まった西武大津店を見送るために、毎日ローカルテレビ番組に映り(ありがとう西武大津店)、
幼馴染とM-1グランプリに挑戦し(膳所から来ました)、
中年おじさんたちの小学校以来の再会のドラマのモブとなり(階段は走らない)、
高校入学時に坊主カットにし、かるた部に入部して、東大オープンキャンパスをダシに西武池袋本店を視察し(線がつながる)、
広島からかるた大会出場のために男子高校生を歓待し(レッツゴーミシガン)、
漫才の相方兼幼なじみの東京引越しに動揺する(ときめき江州音頭)。
「コロナ禍」のはずなのに、ハイテンションで、アグレッシブで、ズレた充実の日々w。
200歳まで生きるつもりで、いずれ大つに28階建ての大津西武店を復活させる予定の「成瀬あかり」。
サイコーですw。
ちょこちょこ「いい話」っぽいところはあるし、最終話で「成瀬目線」で語られる成瀬の心情は、それはそれなりで10代の女性のものだったりするんですが(ズレてるけど)、そういう感慨を吹っ飛ばす突き抜けた「成瀬あかり」のキャラが本書の読みどころ。
天下取りに行ってます。
いや、是非天下取って、大津に西武を復活させてほしいw。
(池袋の本店の方も危なくなってるけど)
このまま成瀬には大学になっても真っ直ぐに「我が道」を言って欲しいね。
続編、期待。
題名はもちろん、
「成瀬ふたたび」
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