鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

全5話じゃ足りないかな…:ドラマ評「17才の帝国」

NHKの土曜ドラマ。

星野源が出演してたんで、第1回を何の気なしに見たんですが、結局最後まで毎週見てしまいました。

個人的には結構ツボでしたねw。

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<近未来の202X年、世界から斜陽国と呼ばれるようになった日本の現状を打破すべく打ち立てられた「Utopi-AI」、通称UA(ウーア)構想の下、AIによって選出された若きリーダーたちが地方都市を未来都市へと変貌させるために奮闘していく姿を描く「青春SFエンターテインメント」>(Wikipedia)

 


こういう話の場合、「ビッグブラザー」(1984)や「スカイネット」(ターミネーター)、「マトリックス」のように、<人間vs AI(マシン)>という構図になって、「ディストピア」的な展開になったり、AIサイドの裏に権力者の「思惑」が絡んでいることが明らかになり、彼らの思惑を打ち砕くような「陰謀論」的な展開になったりするのが定番だと思うんですが、本作はギリギリのところでそれを回避しています。

物語的には権力者たちの思惑が絡んでたり(総理や地元の有力者、内閣補佐官等)、AIの暴走(主人公が作っていたAI<SNOW>)があったりするんですが、それ自体は「ドラマ」を推進させるためのマクガフィンでしかなくて、テーマとしては「理想の社会を追求すること」「その中でAIを活用することの可能性」をメインに据えてるんじゃないかなぁと思います。

第1話から第4話くらいまでの展開はそんな感じ。

逆にいうと、「第5話」でディストピア展開と陰謀論展開を突っ込んで、無理やり終わらせた感もあるかなw。

 


AIを使った直接民主主義の可能性の追求や、多様な意見や考えを可視化しつつ、選択肢をわかりやすく提示していく取り組みなんかは、DX・AIの政治・行政への導入・活用の可能性を見せてくれてナカナカ興味深かったです。

単純化しすぎという意見があるのはもちろんでしょうが、ここはその「可能性」を評価したいんですよね。

(「AI」をシンギュラリティを超えたものではなくて、方向性のある(したがって限界もある)機能として提示したあたりも、リアリティを感じさせました。(だからこそ3つのAIがあるのだし、「SNOW」が暴走したりもする)

ヤングケアラーや世代間格差なんかにもチャンと言及してる点もよかったと思いますよ。

 


でもまあ、全般的にもっと突っ込んで欲しかった感はありますけどね。

市役所職員の削減の話なんかは、「労働の流動性の向上」の問題につながるわけですが、そこでの職業再訓練やマッチングの話、教育のあり方の変化等、もっと具体的に見せてほしかったです。

同時に、そこには「どうしても、取り残される」人たちの問題もあると思います。

そこまで焦点を当ててくれると、もっと作品として深みが出てきたんじゃないかな、と。

 


…って、そんなこと言ってたら、「5話」じゃ収まりませんなw。

できればもっと長いシリーズで。

あるいは本作をベースにした書籍なんか、出してみたら面白いんじゃないでしょうか。

出版部門もある、NHKさんに期待…です。

 

 

 

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