・木挽町のあだ討ち
著者:永井紗耶子 ナレーター:関智一、安元洋貴、野島健児、三石琴乃、小西克幸、小林千晃
出版:新潮社(audible版)
直木賞受賞作。
受賞前に、
「面白そうだな」
と思ったんですが、受賞が決まると手が遠退くという天邪鬼w。
audibleにアップされたので、聞いてみることにしました。
雪の降る夜、芝居小屋の近くで若侍・菊之助は父の仇討ちを成し遂げる。
2年後、その菊之助の縁者が芝居小屋を訪れ、その仇討ちを知っている人々の話を聞きたいと言う。
木戸芸者、殺陣師、女形、小道具職人夫妻、戯作者が仇討ちの経緯を語りつつ、自らの人生の来し方をも語る中、「あだ討ち」の裏側にあるものが浮かび上がってくる…
語り手となる5人+討ち手であった菊之助の「語り」そのものがそれぞれ一章になっています。
もちろん物語としては「あだ討ち」の真相がテーマになるんですが、読みどころ(聞きどころ)は語り手が自ら語る人生の機微がポイントなんじゃないかな。
芝居小屋という「悪所」に流れ着いた人々の、その時その時の決断と、想いと、それでも「自分らしく生きていこう」という決意。
それらが「仇討ちをしなければならない」立場にある菊之助を支えようとする気持ちにつながっていく様。
正直言うと「あだ討ちの真相」そのものについては、
「ちょっと作り込みすぎじゃないかなぁ」
って個人的には感じました。
ただその真相自体はマクガフィンでしかなくて、そこに至るまでの語り手たちの来し方を描くことにこそ作者の主眼はあるんじゃないか。
そう思うと、ストンと落ちるところがあります。
何度か、グッと来ましたしねw。
時代小説も、色々と新しい書き手が出て来ますねぇ〜。
他の作品も読んでみてもいいかな。
#読書感想文
#木挽町のあだ討ち
#永井紗耶子
#audible