・世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド
著者:村上春樹 ナレーター:大森南朋
出版:新潮文庫(audible版)
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」は村上春樹作品の中では初期3部作(+ダンス・ダンス・ダンス)に並んで好きな作品。
何回読み直したか、ちょっと分からないくらい…なんですが、7、8年前に読み直そうと思った時、今一つ乗り切れなくて中断しちゃったんですよね。
まあ、ちょっと忙しい時期でもあったんで、それもあってかな…とも思ってたんですが、気にはなりました。
女性(フェミニスト)から見た村上春樹作品の「独善性」みたいなことが言われるようになってたってのもあるかなぁ、とか。
audibleは結構精力的に村上作品をオーディオ化してて、初期3部作はされてないけど、本作は最近アップされていました。
この4月に村上さんの最新長編が出版される…と言うのもあって、ちょっと気になって田本作をオーディオブックで「聴いて」みることにしました。
まあ、少し古くはなってますかねw。
ビール飲んで、飲酒運転しているし。
85年の作品ですから、時代としては「バブル」。
そう言うとことは一線を引くってのが村上さんのスタンスでしょうが、低音としては影響はあるんでしょう、多分。
パリピーなとこはないけどw(当たり前)
「特別な自分の独りよがりな物語」って感じは、確かに今読んだ(聴いた)方が強く感じるかも。
「<世界の終わり>って、結局、自分自身が閉ざされた意識の中に入っちゃうってだけで、別に他の人にとっては世の中は相変わらず動いてるやん!」
まあ、そうなんですが、ひっくり返したら、世界がどうであったって、「自分」の意識が終末を迎えちゃったら、自分にとって「世界」のことなんかどうだっていいんだしねぇ。
だいたい「一人称小説」なんだから、どうしたってその主人公は「特別な僕」でしょう。
そうじゃなきゃ読んでられないw。
確かに「女性像」については「まあねぇ」ってところは少なからずありますが。
「ハードボイルド」っぽいとも言えるかもしれないけどw。
…と言うことで、audibleで聴いたら、特に反発も抵抗もなく、ラストまで楽しく聴くことができました。
やっぱ文章、上手いなとも思います。
「大森南朋」さんのナレーションは、声の調子にちょっと女性性を感じさせるところもあって、なかなかフィットしてるなとも思いました。
audibleの村上作品は役者さんにナレーションを当ててるようですが、悪くないかもしれません。
ただまあ、「今読むべき本」なのかどうかは、なんとも言えないかなぁ。
少なくとも子供たちにオススメはしないですね。
そう言う意味ではある種の<時代>を抱えた作品ではあるかな、とは思います。
昔読んで楽しんだ人は、一聴の価値はあるかも…です。
気が向いたら、次は「海辺のカフカ」か「1Q84」あたりを聴いてみようかな。
Amazonさんには頑張って、初期3部作のオーディオ化も実現して欲しいです。
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