鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

祝!ローラ復帰!…なんだけど…:読書録「特捜部Q  アサドの祈り」

・特捜部Q  アサドの祈り

著者:ユッシ・エーズラ・オールスン  訳:吉田奈保子

出版:ハヤカワ・ミステリ(Kindle版)

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デンマークのミステリーシリーズ<特捜部Q>シリーズ第8作。

本作ではメインキャラクターの一人・アサドの「過去」が、ついに明らかになります。

 


このシリーズ、メインストーリーとなる陰惨な事件と、主人公たちのユーモアあふれる雰囲気が最初の頃は読みどころだったんですが、「ローラ」の過去が明らかになる前作では主人公たちの<物語>もかなり暗く、厳しいものでした。

本作でも、明らかになる「アサド」の物語は、苦難に満ちており、苦しいものです。

「特捜部Q」が追う「首切り殺人」事件もナカナカ陰惨な話なのですが、本作ではそちらが「サイドストーリー」的な扱いになって、アサドの苦しく狂おしい苦難に満ちた<過去>と、彼の「家族奪還」のための戦い、そして彼の「宿敵」が目論むテロ計画の追跡がメインストーリーとなっています。

いやはや、なんとも息苦しく、そしてラストにはド派手な展開が…。

 


明るい話題は「ローラの復帰」。

カールとモーナに訪れる「転機」も明るいといえば…。

…しかし、この作者だからなぁ。

次作以降、それがハッピーな展開になっていくとは限らんだろうなぁ。

アサドの方も、なんかコレはコレで苦難の道が…。

初期の頃の、スラップスティック的ですらあった仲間たちのアンサンブルは、もう戻ってこないのかなぁ。

 


作品としてはドライブ感もあり、一気に読ませる出来です。

終盤の展開は、まさに手に汗握る…。

しかしこのままシリーズの続きを読むのがシンドくなっちゃうんじゃないかなぁ…って読後感でもありました。

 


いや、読むんでしょうけどね。

出版されたら。