鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「武器になる哲学」と重なるトコも多い:読書録「世界で最もイノベーティブな組織の作り方」

・世界で最もイノベーティブな組織の作り方

著者:山口周

出版:光文社新書(Kindle版)

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「武器になる哲学」が面白かったんで、山口周作品をもう一作。

まあKindle Unlimitedにリストアップされてたってのもありますがw。


なんとなく読んでて、デジャブ感が強かったですね。

結構「武器のなる哲学」に重なる記述が多いなぁって。

実際には本作は「2013年」出版。「武器になる哲学」が「2018年」ですから、本作の記述が、「武器になる~」に使い回しされてるってことなんですけどねw。

まあ、同じ作者だし、「武器になる哲学」の1パートは<組織>についてまとめているので、重なるのも当然っちゃあ、当然なんですが。


作者の基本的なスタンスは、

「日本人は個人としてのイノベーションは高いが、組織がそれを活かせない(潰してしまう)」

と言うもので、その前提に立って、「どうすれば日本の企業が個人のイノベーションを活かせるか」と言うことを本書では考察しています。

 

そもそも日本人ってのは「権威に弱く、上意下達は強いが、上司に対しては物申せない傾向が強い」。

イノベーションの多くは「若者」や「新参者」によってもたらされるケースが多いが、権威志向の強い組織では、彼らは「弱い立場」にあり、意見具申が通りづらい。

50歳以上の人口比率は低く、戦争やパージによって権力者が少なく、若手が力を発揮しやすかった時代には日本においてもイノベーションが生まれてきたが、高齢化社会が進み、権威を持ったシニア層が若年層を超える数いる時代になって、「権威者に弱い」傾向のために、組織の中でイノベーションを担う「若者」や「新参者」は組織決定に関与する機会をもたらされす、そのため組織としては「イノベーション」を生み出すことが難しくなっている。


…まあ、前提はこんなところでしょうか?

じゃあだからと言って、「戦争」を起こすわけにもいかず、シニア層を「追放」するわけにもいかない中で、どうやって組織が個人(若者や新参者)のイノベーションをすくい上げていくようにできるのか?

作者は「組織」と言う点では、コミュニケーションを密にするネットワークの密な組織風土を、「リーダーシップ」と言う点では、共感を得るビジョンを打ち出しつつ、下位者の意見を「聞き取る力」を持って、サーバントするリーダーを掲げています。(ここら辺、相当ザクッとまとめてますがw)


「武器になる哲学」と被る部分は多いけどw、豊富な実例が挙げられてて、それぞれが物語性もタップリで、なかなか面白く読めました。

実際に組織をハンドリングしてて、具体的にリーダーシップのあり方について考えてる人にとっては本書、もう少し幅広い視点から「教養」てきなアプローチを考える場合は「武器になる哲学」がおススメ。

お好きなら、両方読んでも…って感じでしょうか。


個人的にはスゲェうなづけるところが多かったです。

グローバル化やIT革命によって社会やビジネスの状況変化が人世代前とは段違いに早くなっている中、シニア層が持つ知識・経験・スキル・ノウハウ等が、その変化によって「時代遅れ」になって来ており、彼らの組織意思決定が現実から遊離するリスクが高まっている

…なんて話は、実に耳が痛いんですが、そう言う向きも確かにあるな…と。(もちろん、そうじゃないん分野も結構あって、本書の主張が向かない組織・企業もたくさんあるとは思います)

だから個人的には「新しい知識」には貪欲であろうとは思ってるんですが、頭と目がついていかないんですよね、これが…w。


「老兵は去りゆくのみ」

…とはナカナカ行きませんので(子供もまだ学生ですし)、こう言う本を読んで自己認識を新たにし、自分の尻を叩かなきゃいかん。

結論はそんなとこでしょうかw。