鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「人を動かす、新たな3原則」

・人を動かす、新たな3原則 売らないセールスで、誰もが成功する!
著者:ダニエル・ピンク 訳:神田昌典
出版:講談社(Kindle版)



「フリー・エージェント」「ハイ・コンセプト」のダニエル・ピンクの新作。
何となく「ダニエル・ピンク」というと「大前研一」って感じなんだけど、本書は「神田昌典」訳&解説。「セールスがテーマ」ってことになると、「なるほど」って感じもしなくはないかw。



もっとも、本書の主張は(当たり前だけど)今までの作者の主張から大きく乖離しているものではない。・・・と言うか、その延長線上での「当然の帰着」と言っても過言ではない。
「現代においては大半の人がセールスに関わっている」
というのがまず最初にあるんだけど、「フリー・エージェント」ってのは「自分が商品」と言っても間違いじゃないだろうからね。そこで成功するためには「自分をどう売る(セールス)するか」ということが大きな意味を持ってくる。
これは「知識社会」が進展すれば当然のことだし、「情報化社会」「デジタル社会」が進展化することで、経済的基盤が構築しやすくなり、急速にそういう層が増えてるんだと思う。さらに一部だけそういう側面を持つ人を加えると・・・まあ殆ど「関係ない」って人はいないだろうなぁ。
少なくとも先進諸国ではね。



そういう意味では背景には同意できるし、「セールス」という言葉のネガティブな印象を越えて、その重要性にも賛同できる面は少なくない。自分自身もその一角を担う存在だと言っても良いと思う。
ただ「ちょっと頭に入りづらいかな」ってのはあった。
本書で作者は現代の「セールス」における重要なポイントを、
「同調」
「浮揚力」
「明確性」
と規定している。
それらを踏まえたスキルとして、
「ピッチ」(売り口上、売り込みをかけること)
「即興」
「奉仕」
について具体的に紹介している。
まあそれぞれについては丁寧に説明されてて、具体例も豊富なんで「分からない」ってことはないんだけど、改めてこのポイントを眺めると、ナンカ明確に頭に入ってこないと言うか・・・。
翻訳だから仕方ないとは思うんだけど、これはちょっと工夫をして覚えやすい言葉に置き換えた方が良かったんじゃないかなぁって言うのが正直な感想。
いや、読み返せば、それぞれの論旨には納得感あるんだけどね。ただそれを他人に説明するのに、ちょっとポイントをつかみづらいと言うか・・・。
う〜ん、やっぱり僕の読解力の問題かw。



解説で神田氏は作者の言うセールスを、
「利己のセールスではなく、利他のセールス」
と書いている。
このイメージは(漠然としてるけど)本書の骨格を把握する上で役に立つんじゃないかと思う。
流れとしては最後の「奉仕」を論じるあたりでこの「利他」が全面に出てくるんだけど、従来の「セールス」とは違う、現代における「セールス」の根幹にはこうした考え方があると整理した方が、個人的にはすっきりするんだよ。
ま、それじゃ「哲学的な印象が強くなる」ってのもあるかもしれないけどね。
本書で提示されてるのは、極めて具体的な手法だし、それが特徴でもあるからさ。



話題の作者の話題の本。
それだけで一読の価値はあるし、確実に得るものがあることも確か。
もう一回くらいは読み返さないとなぁ・・・。