鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

倹約好きの日本人に意次は人気ないんだけどね:読書録「またうど」

・またうど
著者:村木嵐 ナレーター:宮崎美子
出版:幻冬舎(audible版)

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傑作「まいまいつぶろ」の続編。 
「御庭番耳目抄」もありますが、アレはまあ外伝ですから。
家重に見出され、家重・忠光の姿を見て来た田沼意次が本作では主人公となります。
賄賂政治家として「田沼意次」は評判悪いんですけどね〜。
その彼を評して家重が「【またうど】愚直なまでに正直なまことの者」と言葉を残した。
その「またうど」ぶりは描かれています。


サマリー
人はなぜ、身に余る位や物を望むのか。
「この者は、くまたうど>の者なり一一」
徳川家重の言葉を生涯大切にし続けた老中・
田沼意次。
彼は本当に、賄賂にまみれた悪徳政治家だったのか?
【またうど】愚直なまでに正直なまことの者
全てを奪われても、志を奪うことは誰にもできない。
いつか必ず、次の一里を行く者がある。
財源としての年貢が限界を迎え、 江戸税制の改革者として商人にも課税。
身分の低い者も実力さえあれば抜擢し、 交易に役立つ俵物のため蝦夷地開発を決定。
前例や格式にとらわれず、 卓見と奮迅の働きで日の本を支えた田沼意次は、なぜ突如老中を罷免され領地を失ったのか一-

(audibleより)


「田沼意次」については経済政策を中心に再評価されつつある…ってのが最近の流れですかね。
日本人で結構「清貧思想」が好きだから、ずっと田沼意次の評判て悪かったと思うんですけど、さすがに失われた30年を経験して、デフレのデメリットが身に染みたってのがあるかも。
本書も、そういう再評価の流れを踏まえて、書かれているというのがあるのかもしれません。
最も「倹約」に比べて、積極財政って成果の測り方とかが難しいところがあるから、揺り戻しもすぐにありそうな気もしますけどね。
(この総選挙にもそういう気配はある)


田沼意次が持ち上げられてる分、松平定信・一橋治済には厳しめ。
極端な意見に分かれる場合は、往々にしてその真ん中あたりに事実が…ってのが僕の基本的スタンスなんですが、意次/定信もそんな感じかな?
治済に関してはあんまり好感持てないけどw。
家斉については割といいように書かれているので、続編があるとしたら、彼を中心にしたりする?
…まあ、ないかw。


意次が失脚するのは歴史上わかってることなので、
「ここで頑張ってても…」
って気持ちもあって、「まいまいつぶろ」なんかに比べると先を聞き進めるのはちょっとゆっくりだったかも。
読後感は悪くはないですけどね。
宮崎美子さんのナレーターも聞きやすかったです。
相変わらず新作のオーディオブック化に熱心なAmazon(audible)。
今後も頑張って欲しいです。


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