・住友を破壊した男
著者:江上剛
出版:PHP文芸文庫
仕事関係でのオススメもあって読むことにした本。
江上剛さんの本は何年ぶりかな?結構久しぶりです。
もっとガチガチのビジネス書とちょっと構えてたんですけど、スタートは幕末維新。
なかなかドラマチックな入り方でした。
この男なくして「住友」は語れない! 幕末志士として活動後、司法官となった伊庭貞剛は、叔父で総理事の広瀬宰平に招聘され、住友に入社する。しかし当時の住友は、別子銅山の煙害問題を抱え、さらには宰平の独断専行が目にあまるほどであった。住友財閥の中にありながらも、住友を破壊せんばかりの覚悟を持って改革に臨んだ、〝住友中興の祖〟とよばれる経営者の生涯を描き切った傑作長編小説。
(裏表紙)
「住友を破壊した男」と言う題名ですが、これはちょっと大げさw。
幕末の動乱期を乗り越えて、住友の事業(別子銅山が中心)を確立し、オーナーと経営を切り離して事業拡大していったのは叔父の広瀬宰平の事績なので、維新の志士っぽい豪快さも一歩落ちます。
主人公の伊庭貞剛がやった最大の功績っていうのは「広瀬宰平への引導」って感じなんで、ちょっとスケール感には欠けるかもw。
ただ、独裁者となっていた広瀬を引退させることで、企業としての住友の経営を近代化したってのはあるんですよね
今で言うと、コーポレートガバナンスの整備…みたいな感じかな。
企業の使命と言う点を見据え、大胆に事業戦略を切り替えるとともに、植林作業等にも着手していったって言う点も現代っぽい。
ESG(Environment(環境)、Social(社会)、Governance(ガバナンス))の先駆者ってのも分かります。
個人的にやっぱり1番興味深かったのは「引き際」です。
引退したのが58歳なんですよね。
今の僕より年下じゃんw。
<事業の進歩発達に最も害するものは、青年の過失ではなく、老人の跋扈である>
僕が何かを成し遂げたかと言うと、そんな事は全くないんですけど、でもまぁやっぱり身の処し方っていうのは考えたほうがいいんだなぁと改めて思いました
自分の目から見たら、後輩のやってることが足りなく見えるなんていうのは結構よくあるんですけど、それを咎めることが「老人の跋扈」にならないか。
まぁ考えさせられます。
もっとも一線を引いたあとに何をするのかっていうのは、これはこれで大きな課題なんですけどね。
それはまた、別の話ということで
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