・その世とこの世
著者:谷川俊太郎、ブレイディみかこ ナレーター:下妻由幸、山内 美幸
出版:岩波書店(audible 版)
なんかAudibleで中二病男子の冒険を聞いてちょっと疲れたので、毛色の違うものを…と思って目についたこれをダウンロードしました。
ブレイディさんと谷川さんはご面識はないようで、出版社(岩波書店)の企画で交換書簡を1年半ほどやられたようです。
現実社会にある課題や問題に体からぶつかっていくようなブレイディさんと、詩の世界から1歩引いたように世の中を見ておられる谷川さんの対話が噛み合うのか噛み合わないのか。
読み置いてもどうだったのかなって言う感じはします。
なかなか面白く聞けましたけどね。
90歳を超えておられる谷川さんは亡くなられたご両親の家で終活のような生活を送ってらっしゃるようですが、ちょうどコロナに重なる時期でありながら、ブレイディさんはパートナーの病気やお母さんの逝去、ご自身のコロナ感染と慌ただしい時期を過ごされていたようです。
その対照が面白かったのかもしれません。
長い散文は書けなくなったとおっしゃる。谷川さんは、短い文章の後に詩の形式で返答を書かれておられます。
僕個人は詩は全くわからなくて、極めて散文的な人間なんですけど、不思議と耳で聞くと、この谷川さんの詩がすごくしっくりと自分の中に入ってきました
もちろん、谷川さんの詩がすごくわかりやすい言葉を選ばれて書かれているっていうのはあるんでしょうけどね
なんかちょっと真似したくなるような気分も…なんだけど、やっぱり詩はよくわかんないんですよねw。
<この世は他人だらけである
他人でないのは自分だけだと思うと
淋しい>
谷川さんの書簡の最後の1節。
ポンと胸に響くものがあります。
この後2人が本当に交流をするようになったかどうか…それは僕にはわかりません。
まぁでもそれはどうでもいいことなんですよね。
こういうひと時があったこと
それがそれぞれの、そして読んだ僕の中にも何かを残していくような、そんな気がします
ちなみにこの本の売りは奥村門土さんのイラストにもあった様です。
確かに表紙の写真を見ると、なかなか味のある…。
audible じゃなくて、リアル本だとまた違った感覚があったかな?
いや、とりあえず満足してるんで、リアル本に手を出す気はないんですけどw。