鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

最大の課題は「格差」ということになるのかな?:読書録「ヨーロッパ・コーリング・リターンズ」…の一部

・ヨーロッパ・コーリング・リターンズ 社会・政治時評クロニクル2014-2021

(の「2019-2021」)

著者:ブレイディみかこ

出版:岩波現代文庫

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ガリガリの「左派」(日本でいう「リベラル」じゃないw)ブレイディみかこさんの社会・政治時評。

2016年に出版されていたものに21年までの記事を追加して出版。

2014年からの大きな流れを振り返る意味で一読…にはならずw、2019年以降の記事だけを読ませていただきました。

以前の記事を読むことにはそれなりの意義はあるとは思うんですが、なんか色々変わり過ぎてて、そこまで遡る気分になれなかったんですよねぇ。

 


本書の視点は

「イギリス在住の左派日本人から見たイギリス・欧州の社会・政治の状況を紹介しつつ、日本の現状・未来への視座を提示する」

というもの。

時期的にいうと、

 


・自由主義政策→緊縮財政政策でボロボロになったイギリスがEU離脱を決議。その流れの中で反緊縮財政を掲げるコービン労働党が勢いを増していたが、2019年の総選挙で急失速した。

・その後、コロナ禍において「一体感」を醸成したイギリス社会が、長引くコロナ対策の中で徐々に分断を露わにするようになり、格差と分断が社会的な危機として激化・表面化している。

 


…というところでしょうかね。

ブレイディさんの立場から言うと、

「反緊縮政策で盛り上がったコービンが、党内事情で失速しちゃうなんて〜」

「コロナ禍で非常時のイギリス人の<団結>をみたのに、それがこんな風に忘れ去られていっちゃうなんて〜」

って残念な流れではあるんですが、一方でその根幹にある「格差と分断」というテーマが、より表面化し、<敵>として強く再認識されている…という状況でもあろうかと。

イギリスほど極端でもないし、先鋭化もしていませんが、構図そのものは日本も同じかもしれません。

 


<緊縮とは、簡単にいえば政府が財政再建を優先し、財政支出を削減したり、増税を行なったりすることである。それは個人の貧困も増加させるが、福祉や教育、医療などへの公共サービスも貧しくさせ、長期的なダメージを残す。所得補償で個人の当座の生活は保障できても、長い年月をかけて予算を削られ続け。縮小した公共サービスの休場は一朝一夕で修復できるものではない。>

 


日本の今回の衆院選で「維新」が勢力を伸ばしました(まあ、評価は色々だけど)。

その後も国会議員の交通費問題等で維新は色々気勢を上げてるんですが、「改革」の旗はいいとして、その方向性が「緊縮財政」に向かないかは、チョット心配なんですよね。

議員の経費を削減させるのは、「自分達がまず身を切って、それから国民に負担を…」って流れになるのが今までだったから。

コロナ対策で「そういうもんじゃないんだ」ってことが分かったんだったらいいんだけどな〜。

そこんところがどうも…。

 


(だから立憲…とは、僕はなりませんがね。彼らが言ってることには「芯」がない。

ここは大阪で「コロナ対策」を中心でやった(成否は別)維新とは格段違います)

 


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