鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

立ち直るきっかけっていうのは、そんなにドラマチックじゃなくてもいい:読書録「月の立つ林で」

・月の立つ林で
著者:青山美智子 ナレーター:川﨑芽衣子、松本章太郎
出版:ポプラ社(Audible版)

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青山美智子さんの作品は、人生の中で立ち止まってしまった人が、ちょっとしたきっかけでもう一度歩み出す姿を描くパターンが多いです
そのちょっとしたきっかけか、図書館でもらったオモチャだったり、公園にあるカバのアニマルライトだったりw。
本書の場合は、それが「podcast」と言うことになります

 

 

毎朝10分間更新される「ツキない話」
月に関する豆知識を語るこのpodcastを聞いて、ふとしたきっかけて、人生の中で立ち止まってしまった人々はもう一度歩み出そうと勇気をもらう…

 

一章 誰かの朔:長年勤めた病院を辞めた元看護師
二章 レゴリス:売れないながらも、夢をあきらめきれない芸人
三章 お天道様:娘はツツの関係の変化に寂しさを抱える自動二輪自動車整備士
四章 ウミガメ:親から離れて早く自立したいと願う女子高生
五章 針金の光:仕事と家族のバランスに悩むアクセサリー作家

 

 

彼らの悩みや戸惑い、ポッドキャストが直接的な回答を語りかけてくれるわけではありません。
そうじゃないんだけれども、そのpodcastをきっかけにして、彼らは気づきを得、新しい一方踏み出すようになります。
ここら辺の塩梅が絶妙なんですよね。青山さんは。

 

連作としては、ある劇団がそれぞれの話に絡んできていて、最終的にはそれがポッドキャストの語り手に戻って来て話が閉じられるます。
各短編の主人公達とポッドキャストの関係性に比べると、ここら辺の仕掛けはかなり巧妙な感じがします。
これは好き好きなところがあるかもしれません。

僕個人としては前作の「リカバリーカバヒコ」位の方がよかったかなぁ。
それぞれの短編の主人公たちのその後がうかがえるっていうのはすごくいいんですけどね。

 

 

それにしても相変わらず読後感は良い作品です。
なんかちょっと疲れたときに隙間時間に1ずつ読んでみる。
そんな感じで聞くのが良いのかもしれません。
僕は一気に聞いちゃいましたけどw。