鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

実に読後感も良い小説でした。:読書録「リカバリー・カバヒコ」

・リカバリー・カバヒコ
著者:青山美智子 ナレーター:大原さやか
出版:光文社(audible版)

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自分の体が悪いところと同じ場所をなぜると、そこが直ると言う言い伝えがある公園のアニマルライドの「カバ」
「人呼んで、リカバリーカバヒコ。
…カバだけに」

公園近くにできた新しいマンションの住人がその都市伝説を聞き、自分の体の悪いところをなぜ、その回復する過程を描いた連作短編小説です。
体の悪いところといっても、実際にはその部分が何か障害があると言うわけではなくて、他に原因があってその他の原因を取り除いていくというのが、まぁ話の流れです。
大体は心理的なものが中心になってるし、人間関係や自分の感情の扱いがポイントになるんですけどね。


第1話 奏斗の頭:進学校の進学した奏斗は成績が芳しくないことに悩む。ある日、クラスメイトの少女と公園で出会い…
第2話 紗羽の口:新しいマンションに越してきた紗羽は幼稚園のママ友たちとの関係に苦労している。些細なきっかけでママ友グループからハブられた紗羽は…
第3話 ちはるの耳:ブライダル会社に勤めていたちはるは、耳の調子が悪くなってしまい休職に追い込まれる。中途入社した社員との関係、無理な注文の多い顧客への対応等で疲れ切っていたちはるに1通の手紙が…
第4話 勇哉の足:勇哉はあまり足が速くない。クラスの駅伝でクジで選手を選ぶことになった時、勇哉は足を捻挫したとウソをついてしまう。しかしその後本当にアシが痛くなってきて、勇哉は病院通いしなければならなくなってしまう
第5話 和彦の目:雑誌編集長の和彦は老眼が進んできて、自分の歳を感じざるを得なくなっている。80歳になる母親は今も一人暮らしでクリーニング店を営んでいる。疎遠となっている母親のことを考え、和彦は実家の近くに引っ越しするが、なかなか母との距離感は縮まらない…


非常に読みやすくて話もよくできています。
ご都合主義的すぎると言う見方もあるかもしれないし、内容によっては甘いんじゃないのって言う指摘もできるでしょうけど、そこら辺の塩梅が読後感の良さにつながってるっていうのもありますからね
読んだ人が何らかの「リカバリー」するって言う側面もあって、そういう意味では良い加減のファンタジー小説だと思います
読んでて何度かぐっと来ちゃいましたし…w。


個人的には高校生の話とママ友の話がいいかな。
最後の年老いた母親との話にもちょっと来るものがありました。


青山さんの作品は何冊か読んでいますが、どれも「よくできた話」だし、読後感が良い。
何か頭を休めたい時にちょうどいい感じなんですよね。
Audibleで聴くのにすごく向いてると思います。
またお付き合いさせていただきたいところです。
リカバリーしてもらいたい時にw。