・その可能性はすでに考えた
著者:井上真偽
出版:講談社文庫(Kindle版)
「探偵が早すぎる」が予想以上に面白かったので、その前から気になってた本作を。
http://aso4045.hatenablog.com/entry/2018/06/01/183018
…う〜ん、面白くは読めました。
でもなんかスッキリしない。
主人公はある事情から「奇蹟」の存在を証明しようとしている探偵。
その証明とは、
<『人知の及ぶあらゆる可能性を全て否定できれば、それは奇蹟と言える』>
「人知の及ぶあらゆる可能性」を潰すなんてのは土台無理…なんですが、まあコレは本作での「本格推理のリアリティ問題」への対策w。
「どんな突飛な論理でも可能性を認めさせれば探偵の負け」
…ということで、トリッキーな推理(可能性)が探偵に提示され、探偵はそれを論理で潰していく。
と言う構図になってます。
ここら辺は「探偵が早すぎる」と似たような構図ですね(あっちの方がスピーディで、推理の数も多いですが)。
ただラストがなぁ。
最後の最後、探偵が自ら切り返すんですが…。
コレがどうも。
それまでの推理は「机上の空論」で良いんですよ。
それが「約束」なんですから。
でも最後は…。
で、僕としては「う〜ん…」て感じで読み終えました。
本格推理に対する作者のアプローチは面白いし、作品も楽しんだのは確かなんですが。
本作はシリーズになって、「続編」があります。
さて手を出すべきや、否や。
…ただ今「留保」中です。