・その復讐、お預かりします
著者:原田ひ香 ナレーター:尾川楓
出版:双葉文庫(audible版)

原田ひ香さんの作品、何作か読んでるんですけど、全部audible。
あ、「読んでる」じゃなくて、「聴いてる」かw。
でもオーディオブックにはすごく向いてる作者さんだと思います。
すごく文章が上手くて、分かりやすい。
読後感がよくて、ホッとするのもオーディオブック向きじゃないですかね。
(ChatGPT)
概要
『その復讐、お預かりします』は、原田ひ香による“復讐屋”ものの連作短編集(新装版)。
恋と仕事を同時に失った女性・美菜代(みなよ)が、凄腕と噂される復讐屋・成海慶介の事務所にたどり着くところから始まる。
• 文庫新装版(旧題『復讐屋成海慶介の事件簿』)
• 収録作:
「サルに負けた女」「オーケストラの女」「なんて素敵な遺産争い」「盗まれた原稿」「神戸美菜代の復讐」
あらすじ
一流企業で秘書として働いていた美菜代は、信じていた恋人に裏切られ、仕事まで失ってしまう。怒りと屈辱を抱えた彼女が頼ったのは、“凄腕の復讐屋”として名の知れた成海慶介の事務所だった。だが成海は、セレブの依頼しか受けないうえに報酬も高額。美菜代は依頼を断られ、簡単には復讐に届かない現実を突きつけられる。
それでも諦めきれない美菜代は、成海のもとで働かせてほしいと頼み込み、押しかけ秘書として事務所に居座ることになる。事務所には、婚約者の“ある存在”に心を折られた女性、オーケストラ内の力関係に追い詰められた女性、遺産をめぐって振り回される人、創作の世界で大事なものを奪われた人など、理不尽の種類が違う依頼人たちが次々やってくる。美菜代は案件を間近で見ながら、「復讐」とは相手を痛めつけて終わりにすることではなく、傷ついた側が人生の主導権を取り返すための“整理術”でもあるのだと、少しずつ理解していく――。
旧題が「復讐屋成海慶介の事件簿」。
仰々しいw。
ミステリー路線で売って行こうとしたんですかねぇ。
でもそういう話じゃないからなぁ。
改題された題名のほうが向いてると思いますよ。
話の構図としては「復讐」を求めてきた依頼人に対して「復讐」以外の道をそれとなく示し、そのことが依頼人自自身の幸福につながるのだとアドバイスする…って感じかな?
ストレートじゃないし、そのことに依頼人全員が納得するわけでもないけどね。
ただ主人公(成海慶介)の信念はそこにあるし、それが作品としてのテーマでもある。
優雅に生きることが最高の復讐である
イギリスの詩人(ジョージ・ハーバート)の言葉とか。
「相手に仕返ししたり、怒りをぶつけたりするより、
自分が落ち着いて満ち足りた人生を送ることこそが、
結果としていちばん相手への「痛烈な返し」になる、という考え。
復讐心に飲まれて自分を削るより、
健康で、豊かで、心穏やかに生きてる姿を見せる方が、
「あなたに人生を乱されてませんよ」って静かに宣言することになる」(ChatGPT)
復讐が成し遂げられたからと言って、そのことで自分自身の人生が豊かになるわけでも、自分が幸せになるわけでもない。
そんなことよりも自分の人生を前向きに生きて行くことの方が重要だ
…って感じかな。
本作でいえばシナリオライターやバイオリニストなんかの選択が一番分かりやすい。
復讐したって、いい脚本がかけるわけでも、音楽家として成長するわけでもないからね。
もちろん登場人物たちに復讐の念を起こさせた相手に不幸が訪れるわけでもない。
特にヒロインを裏切った男はノウノウとしてて、性懲りもなくヒロインにまた声をかけてきたりもしてる。
そのことにイラっとはくるんだけど、だけどまあそこに囚われて何かいいことがあるわけでもないからねぇ。
…という展開にしてる当たりが、作者の上手いところかな。
それでいて読後感は本作も悪くないですから。
こういう作品がどんどんaudible化されてるのは嬉しいなぁ。
いい精神安定剤になりますw。
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