鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

むちゃくちゃ緊迫感があるけど、背景やその後の流れなんかも分かんないと、ちょっとピンとこないところがある:映画評「ソウルの春」

ユン大統領の非常戒厳発令/撤回の一連の事件をフォローしてて、この映画に言及しているケースがちらほらあったので、レンタルして視聴(U-NEXT)。
140分位の映画ですけど、がっつりとクーデターの様子を描いていて、そういう意味では緊迫感の途切れない映画でした。
でもそこに焦点を当てているだけに、それ以前の背景とか、それ以降の民主化の状況なんかがフォローされていないので、そういうところを知らないと、ちょっとピンとこないところがありますね。
韓国ではもちろんそこら辺がわかっているので、相手そこをコメントしなくても…と言うのはわかります。
日本映画で言えば「日本の1番長い日」なんかもそんな感じですし。
もちろん僕は全然ここら辺の事に詳しくないので、ChatGPTサーチでいろいろ検索しながら映画を見ていました。
もちろん、全部が追い切れたわけじゃないですけど。

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<概要>
映画『ソウルの春』(原題:서울의 봄)は、1979年12月12日に韓国・ソウルで発生した粛軍クーデター(12.12軍事反乱)を題材にした2023年の韓国映画です。この作品は、反乱軍と鎮圧軍の9時間にわたる攻防を、一部フィクションを交えながら描いています。

タイトルの『ソウルの春』は、朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の暗殺後、韓国で一時的に高まった民主化の機運を指す言葉です。しかし、本作ではその民主化ムードが頓挫する要因となった粛軍クーデターに焦点を当てています。

 

物語は、朴大統領の暗殺後、国軍保安司令官のチョン・ドゥグァン少将(モデルは全斗煥)が、軍内の秘密組織「ハナ会」のメンバーと共にクーデターを計画し、陸軍参謀総長のチョン・サンホ大将(モデルは鄭昇和)を逮捕するところから始まります。これに対し、首都警備司令官のイ・テシン少将(モデルは張泰玩)は、クーデターを阻止しようと奮闘します。映画は、彼らの対立と、それに巻き込まれる軍内部の人々の姿を緊迫感あふれるタッチで描いています。

 

主要キャストには、チョン・ドゥグァン役にファン・ジョンミン、イ・テシン役にチョン・ウソン、チョン・サンホ役にイ・ソンミンが名を連ねています。特に、ファン・ジョンミンは特殊メイクを施し、全斗煥を彷彿とさせる姿で圧倒的な存在感を放っています。

 

本作は、韓国で公開されるやいなや、事件をリアルタイムで知る世代はもちろん、事件を知らない若者たちの間でも瞬く間に話題となり大ヒットスタート。最終的には国民の4人に1人が劇場に足を運び、『パラサイト 半地下の家族』などを上回る1,300万人以上の観客動員を記録。コロナ禍以降の劇場公開作品としてはNO.1(2024年3月末日現在)となる歴代級のメガヒットとなりました。

 

映画『ソウルの春』は、韓国現代史の重要な転換点を描いた作品であり、当時の政治的緊張や人々の葛藤をリアルに再現しています。歴史的事実を基にしつつも、フィクションを交えてドラマチックに描かれているため、歴史に詳しくない方でも楽しめる内容となっています。この映画を通じて、韓国の民主化運動の一端を垣間見ることができるでしょう。
(ChatGPTサーチ)


パク大統領が暗殺されて、民主化への期待が出てきたところ(「ソウルの春」)に、全斗煥が軍部の1部と結託をして、クーデターを起こし、政権を掌握する。
この軍事政権は、民主化の動きに対して弾圧を行い、光州事件を引き起こすことになる。
しかしながら、時代の流れを止めることはできず、やがて民主化の動きに抗しきれなくなって全斗煥は退陣をし、盧泰愚大統領が民主化を進めざるを得なくなる。
その後、キムヨンサム大統領が誕生し、軍部の影響下にない民主政権になると、光州事件を中心とした民主運動弾圧の事実が明らかになり、全斗煥と盧泰愚は裁判で断罪されることになる。


この映画はこういう大きな流れを背景にして作られています。
韓国の人にとっては当たり前の歴史ですね。
一方でこの映画の中では悲惨な目に合う参謀総長や首都警備司令官はその後復権することになるんですけど、司令官の家族はかなり悲惨な境遇をたどっていて、その悲劇自体が韓国の中では知られたことだっていうのもあると思います。(父親がクーデターに抗議して餓死。大学に進んだ長男は行方不明になって死亡。妻は司令官の死後自殺)


映画のラストでは、全斗煥に協力をした軍人たちが、その後どういう栄達の道についたかが実名で描かれますが、それ自体が極めて厳しい批判にもなっています。
いわゆる「歴史の問い直し」の流れに沿うシーンだと思いますけど、この映画を見ると「まぁ、確かになぁ」と言う気分にはなります。
「歴史の問い直し」にはいろいろな側面があって、僕自身それをどういう風に考えればいいかっていうのは迷うところもあるんですけど、
「過去のことだから水に流そう」…と言うわけにはいかないっていうのはわかります。
そこに処罰感情や正義感の暴走があるっていうのが問題だっていうのが大きいんですけどね。
いや、これは本当に悩ましい問題だと思いますよ。
日韓関係だけじゃなくて。


それにしても、この映画は、公開されたのは2023年。つい最近のことです。
韓国では国民の4人に1人が見るくらいの大ヒット。
当然映画がヒット出しただけじゃなくて、当時の事なんかもいろいろ語られたでしょうし、議論にもなったでしょう。
軍隊が動くと言うことの恐ろしさは強く描かれていますし、軍事政権下で何回も出された戒厳令に対する記憶がよみがえってたっていうのもあったと思います。
にもかかわらず、ユン大統領がなぜ非常戒厳などを出そうと言う動きに出たのか。
本当によくわからないなぁ。
一説には大統領自身がエコーチェンバーに陥っていて、周りが見えなくなってたって言う説もあるんですけど。
もしかしてユン大統領はこの映画見てなかったのかな?w


まぁ正直言って、韓国以外の人にとってこの映画がどれだけインパクトがあるかっていうのはちょっとよくわからないです。
僕自身今回の非常戒厳のことがなかったら、この映画を見ることはなかったと思います。
ただいろいろ考えさせられる事は多かったので、見て良かったとも思いますが。
おすすめ?
旬だとは思うけど、微妙かなぁ。


#映画感想文
#ソウルの春
#非常戒厳