・ぼくが見つけたいじめを克服する方法
著者:岩田健太郎
出版:光文社新書
ダイヤモンド・プリンセス問題で賛否両論巻き起こした岩田さんの新作。
便乗商法
…ってわけじゃないなくて、ほとんどはあの事件の前に出来上がっていたとのことです。もちろん言及はされてますが…。
「いじめ問題」に関する作品になりますが、基本的問題意識は、
「大人社会にいじめを許容する社会風土があるから、子供のいじめがなくならない。そこに手を入れなければ根本解決にならない」
と言うもの。
従って本書についても、「子供のいじめ問題」への対処について論じるだけでなく、「大人社会」にある「いじめ」の構図について、具体的な事例を挙げながら、<忖度なしで>突っ込んでいます。
僕は個人的には、
「そうなんだよな〜」
と思うところありましたが、人によっては強く反発するケースもあるでしょうね。DPの一件への反応を見ても。
(岩田さんのTwitterを定期的に拝見してますが(コロナ対策もあって)、D P対応以降、なんか難癖くさいツッコミが沢山来てます。本書では「ブロック」を推奨してますが、「よく相手されてるなぁ、こんなのにまで」と思うこともシバシバ)
まあ、学会の話とか、高校野球の話とか、役所との対応とか、医学界への批判とか、嫌う人は嫌うだろうなって話も多いですしw。
論理的・合理的なだけに、尚更ね。
(「論理や合理で割り切れないことも世の中にはある」ってのは全くその通りなんですが、岩田さんの場合、それは理解しつつ、「でも論理や合理が、情理で否定されちゃダメでしょ」ってスタンス。
意見は色々あると思うけど、少なくとも感染症の世界はそうなんだってのを今目の当たりにしてる感じです)
「いじめ」への対処についてはある意味シンプル。
1 事実確認、事実確認、事実確認
2 証拠保全
3 他者への敬意
4 オープンな攻撃
「4」の観点からはTwitterや SNSの活用も積極的です。
ここは確かに大きな「武器」になってる印象ですね。(個人的にはこのインパクトを理解してない人が結構いるのが不思議なんですけど)
「1」の観点からは、「感情的にならず、クールに事実のみを突きつける」ってのもあるかと。結構「感情」は「ノイズ」になっちゃいますから。(心情は理解できるんですけど)
そしてスタンスはこれ。
「寛容には寛容を、不寛容には不寛容を」
相手がしっかりと反省し、実効的な再発防止を掲げたときに、「厳罰」や「報復」を求め続けることにも岩田さんは批判的です。
この「中立」的スタンスが、また誤解を生んじゃうんでしょうがw。
子供の頃から大人になってまで、「いじめ」にあってきた岩田さん自身が考え抜いた「いじめ問題」へのスタンス。
一読に値すると思いますし、実際的でもあると僕は思いました。
社会を変えていくために、「いじめる側」「傍観者サイド」にいる人たちにこそ読んで欲しい作品ですが、まずは「武器」として「いじめられている」側の人に。
効果があることも、岩田さんが証明済です。