鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

現場路線で行くのかしら?:読書録「消えた警官」

・消えた警官

著者:安東能明

出版:新潮文庫

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「撃てない警官」シリーズ最新刊。

チャラいが凄腕の刑事(上河内)が前作から登場しての2作目。

「失踪した警官」を縦糸とした連作短編となっています。

 


上河内の登場で「刑事ドラマ」としての展開は充実した一方で、そもそもの「警察内部もの」としての側面は薄くなってきたような…。

本作にも主人公(柴崎)の仇敵(中田)は登場し、何やら妨害工作は仕掛けてるらしいものの、対立軸はメインストーリーの添え物にとどまっています。

 


取り上げられている事件は割と時事的であり、「深み」も感じさせるので、「刑事もの」としてはレベルが高いと思うんですが、そもそもの「撃てない警官」としての独自性が失われているのはどうなのか…。

「隠蔽捜査」の竜崎は神奈川県警の刑事部長となり、現場にありながらも警察政治にも関わっていく(ちょっと無双になり過ぎてる感はあるにせよw)方向に踏み出していますが、柴崎の方は「迷走中」って感じもしなくもないです。

 


「刑事路線」で行くのも悪くはないんですが、個人的には警察内部の政治対決にも踏み込んでほしい気分はあるんですけどね。

 


ま、いずれにしても次作が楽しみではあります。