・清明 隠蔽捜査8
著者:今野敏
出版:新潮社
隠蔽捜査シリーズ最新作。
2作目から務めていた「大森署長」から、神奈川県警の「刑事部長」に異動しての「新章」開始、となります。
大森署からの異動早々に(当日w)発生した殺人事件を警視庁(伊丹刑事部長)と合同で捜査する…と言うのが基本ストーリー。
警視庁と神奈川県警のライバル意識、キャリアとノンキャリの意識差、警察組織の官僚制…といったシリーズに馴染みの課題に加えて、本作では中国人組織が関係して来て、公安・外交・華僑等との軋轢が描かれることになります。
まあここら辺は評価が分かれるかなぁ。
「合理性」を追求する裏にある「正義感」というのが本作の主人公の「竜崎伸也」の特徴であり、作品としての読みどころでもあるんですが、本作については若干「正義感」が表に出て来すぎている感じが僕にはしました。
オチもまあ、「完勝」過ぎる。
妥協したと見えて、実は…ってくらいがシリーズとしてはハマり具合が良いと思うんですが、本作についてはストレートに「竜崎の勝ち」って感じになってます。
それはそれでスッキリしますがね。
作品にはそれぞれ一癖ありそうな登場人物が「顔出し」してて、今後のシリーズとしての展開を予感させます。
好きなシリーズですから、「次」があるのは嬉しい。
あんまり待たせずに、読ませていただきたいものです。