鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

シリーズとして、こなれてきたけど…:読書録「伴連れ」「広域指定」

・伴連れ

伴連れ (新潮文庫)

伴連れ (新潮文庫)


・広域指定

広域指定 (新潮文庫)

広域指定 (新潮文庫)


著者:安東能明
出版:新潮文庫


「撃てない警官」「出署せず」と来たシリーズの3・4作目。(4作目は初の「長編」です)
「伴連れ」で「高野」という女性警官が登場して、これでシリーズメンバーが揃った感じ。で、4作目は「長編」となったんでしょう。


女性署長も含め、メンバーのアンサンブルが揃って来て、なかなか気持ちよく読めるようになったのは「隠蔽捜査」シリーズにも通じますね。
同時にそれがシリーズ初期にあった「何か」を(多少なりとも)損なっている感じがするのも同じですかねぇ。
本書で言えば「グレー」なところ。
「隠蔽捜査」シリーズの根本にある主人公の「正義」とここが決定的に違ってて、それが読ませどころにもなってたと思ってるんですが、メンバーが同じ方向を向いて「事件」を追う姿を描く中で、「真実を追う」という構図が作品としての「グレー」感を薄めていると思うんですよ。(扱われる「事件」には「グレー」さがあります。あくまでも主人公についての「グレーさ」ですね、僕が言ってるのは)
なんか主人公も「現場」への執着みたいなもんを覚えつつあるようだしw。


今後はどうなるのかなぁ。
この路線で主人公が「現場」で生きがいを覚えるっていうのも悪くないかな。
そこから「本部」へ返り咲いていくってのも、構図としては良いように思います。(これは「隠蔽捜査」シリーズにも通じるところ)
「グレー」な方向に改めて振り直すのも読んでみたい気がしますが、「エンタメ」としてはウケ悪いような気がしますしw。


まあ何にせよ、面白く読めるシリーズです。
「次」も読んじゃうんだろうな。