・IQ2
著者:ジョー・イデ 訳:熊谷千寿
出版:ハヤカワ文庫(Kindle版)
日系アメリカ人が描く黒人社会を舞台にしたハードボイルド。
第1作目は新鮮でした。
<読書録:IQ>
http://aso4045.hatenablog.com/entry/2018/07/13/212740
前作も複数の事件が時系列を錯綜しつつ描かれていましたが、本作では「IQの兄の殺害事件」と「兄の元・恋人の妹救出作戦」が並行して描かれます。
「救出作戦」の方は中国系とメキシコ系のギャング抗争に進展して、血みどろの展開になっちゃうんですが。
1作目に比べると、本作のIQは冴えません。
兄の恋人サリタに「良いところ」を見せて、気を惹こうと、ちょっと空回り気味。
ここら辺がちょっとイライラするんですが、その構図が実は兄の殺害事件の方の構図にも重なっていて…と、ナカナカ凝っています。
「人は他人を自分の見たいようにしか見ない」
IQにとっての兄も、サリタも。
冴えないIQに比して、周りのメンバーは活き活きと活躍します。
メキシカンギャングの元ボス、その妹、今のボス、ルワンダ虐殺を生き残ったコンビ、人身売買に手を染めたチャイニーズマフィアetc、etc
断片的ながらその生き様が垣間見え、「今、こうあるしかない」それぞれのあり方が錯綜します。
一番は(前作ではちょっと鬱陶しかった)相棒のドットソンかな?
最高の彼女を得て、彼は「いいオトコ」に変貌しています。
IQが探り出した真相には苦いものがありましたが、ラストにはちょっと明るさも。
次はもうちょい冴えた姿を見せて欲しいと思います。