「ナカナカ面白そう」とは思っていたんですが、予想以上の出来でした。
「捜査官X」
<1917年の中国。雲南省の小さな村で両替商に押し入った二人組の強盗が死ぬ。事件発生時、両替商にいたのは、経営者の老夫婦と製紙工場の職人ジンシー(ドニー・イェン)。ジンシーの必死の抵抗もあり、強盗犯たちは自滅したという。だが、武術の心得があるイェンと凶器を持つ相棒を、なぜ丸腰のジンシーが倒すことができたのか、捜査官シュウ(金城武)には疑問だった。>
前半は金城武による推理ドラマ。
スローモーションやらCGを多用しながら、妄想チックな推理展開でナカナカ見せてくれます。
理知的な探偵役・・・と思っていた金城武の「歪み」が見えてくるのと前後して、ドニー・イェンの「過去」が立ち上がってきて・・・
そして後半は、何と、圧倒的迫力のカンフーアクション映画になります。
この構成の不思議さ。
でもそれがハマるのが本作のスゴさでしょう。
自らの過去を捨てた男が、その過去と向き合い、立ち上がらざるを得なくなる。
いやぁ、燃えます!
ありがちな展開?
でも、燃えるんですよ、こういうの!!
いいなぁ、ドニー・イェン。
「情」と「法」の狭間で引き裂かれていた捜査官がラストで自らを戻し・・・たんでしょうね、アレは。
ちょっと寂しい結末ではありますが。
冒頭とラストの村の美しい風景と、清貧ながらも情感に満ちた暮らしの風情が、ドラマチックな展開を包み、何とも言えない余韻を残します。
観て損はない作品ですよ。
ただし邦題は「ダメ」。
日本じゃ「金城武」のネームバリューがあるからなんでしょうけど、何のことやら・・・。
これは原題の「武侠」が最適です。