・苔のむすまで
著者:杉本博司
出版:新潮社
誰かが「愛読書」として掲げてたのを、どっかで読んだんですよね。随分前に。
で、その時に手に入れて、枕元において、時々読み進め、時にパラパラ眺め…。
ようやく読み終えました。
作者は現代美術家・写真家で、本書にはその作品の写真がたくさん収められています。
その作品と関係したエッセイが収められた作品集…って感じかな?
「現代美術」と言っても、古物商を営んでた経歴を持つ作者の作品は、現代と日本伝統の双方のテイストを強く持ちながら、それでいて未来志向もあって、なかなか興味深い。添えられたエッセイも静謐な力をもって迫ってくるものがあって、いい感じです。
何をもってこんなに惹かれるのか、言葉にし辛いところもありますが。
表題のエッセイは巻末に置かれています。
昭和天皇について語りつつ、天皇制そのもの、そして日本について語った文章。
平成が終わろうとする「今」、維新後150年となる「今」に読むに相応しい一文かと。
個人的には金沢を去り、新しいステップを踏み出そうとしている「今」でもあります。