鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「経営は何をすべきか」

・経営は何をすべきか 生き残るための5つの課題
著者:ゲイリー・ハメル 訳:有賀裕子
出版:ダイヤモンド社(Kindle版)



「コア・コンピタンス経営」「経営の未来」の作者による待望の新作。
・・・とか言って、ゲイリー・ハメル氏の作品は何となく読み通せないんだよなぁ。
前掲の2作もちゃんと購入して、目は通してはみてるものの、とても「理解した」という状況ではなく・・・。
そんな「難解」って訳じゃないんで、相性みたいなもんかもしれないけどねぇ。



本作は今までの作品のような論考する作品と言うよりは、「5つの課題」を設定し、それについてあれやこれや語ってみた・・・みたいな作品かな。



<喩えるなら、この本はフルコースの晩餐会ではなく小皿料理を楽しむようなタパス・バーのようなものなのだ。>



と作者の弁。
まあそんなに気軽な本でもないと思うけど、ちゃんと最後まで読むことは出来ましたw。



「5つの課題」というのは以下。



理念
イノベーション
適応力
情熱
イデオロギー



それぞれに5つの視点を提示し、全部で25つの「ショートストーリー」が語られる構成になっている。
「課題」を見てもわかるように、現代の「経営」においてこれらが求められていることは理解できる一方で、それほどたやすくないことも理解が出来る。
作者は色々な事例を上げながら、
「不可能ではないんだ」
と背中を押してくれるが、もちろん簡単ではないことは百も承知。
それでもこの方向性に踏み出さなければ未来はない・・・というのが作者のスタンスだ。
ま、そりゃ理解できますがね。



これらの中で中核となるのは「理念」。
だけど現実的な視点としては「適応力」の重要性にあるんじゃないかな?
この「適応力」をキーにしてマネジメント・経営が語られるあたりは、難しいことだとは思いつつも、ワクワクするとこもあったなぁ。
そこには「未来」が感じれるんだよね。



まあ「組織」ってのはナカナカ難しい。
ただ「組織」は「運営」することに目的があるんじゃなくて、「目標を達成する」ことに意義があるんだとしたら、
環境の変化や関係者の多様性が急激に進展する中では、柔軟性を高め、「イノベーション」を生み出し続けれる、スピード感をもった「適応力」を身につけるしかない。
そのためには自由が重要であり、そこに方向性と規律をもたせるためにも、「理念」「イデオロギー」が不可欠であり、関係者の「情熱」がそれを継続させる
・・・といった「物語」を一つ語れるかな?



論考としては細切れに過ぎるかもしれないけど、「考えるネタ」としては刺激的。
それこそが作者の狙いでもあるかw。