鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

読書録「あなたは誰?私はここにいる」

・あなたは誰?私はここにいる
著者:姜尚中
出版:集英社新書



何で政治学の学者さんが美術の本を?
と思ったんだけど、NHKの日曜美術館の司会をやってたんですな。
ま、風貌的に「芸術家」風な感じがするのも確かですがw。



本書はその番組本…と言う訳じゃなくて、その経験にインスパイアされて、改めて自分の美術経験みたいなものをまとめた作品。
主に絵画と陶芸が取り上げられている。
「批評」として読むと、製作者の人生や思想、エピソードなどから作品の「意図」や「意味」を読み解くスタイルはチョット古めかしいかもね。
ただ本作ではそれらの批評は作者(姜氏)から発し、作者に戻って行くモノになっている。
要すれば、芸術鑑賞に名をかりた「自分語り」ってのが本書の位置づけ。
そう割り切って読むと、このスタイルもしっくり来るし、作者自身もそう言うつもりです書いてるんだと思う。( だからこその題名だろうし)
所詮、批評なんて自分語りにすぎないんだ…とまでは割り切ってないと思うけどw。



本作に取り上げられている絵画は、結構「怖い絵」シリーズと被っている。
それだけ「メジャー路線 」ってことなのかもしれないが、個人的にはあの本でカラーで見てたから、作品が理解しやすかったってのがあるな。
換言すれば、本作もカラーの方がよかったんじゃないか、と。
少なくとももう少し掲載作品のサイズを大きくしたほうが良かったと思う。
本作だけだと、描いてる内容が「?」ってのもあったよ。
老眼のせいかもしれんがねw。



まあ、本としては結構面白かったかなぁ。
姜氏の「マザコン」ぶりには驚かされもしたけどw、隠してることでもないしね。
専門家じゃない人間の芸術鑑賞エッセイ…そんなところでしょう。