鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

再読。のはず:読書録「若い読者のための短編小説案内」

・若い読者のための短編小説案内
著者:村上春樹
出版:文藝春秋(kindle版)

若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)

若い読者のための短編小説案内 (文春文庫)


「意味がなければスイングじゃない」と一緒に電子書籍化されてた村上春樹作品。
前作が「音楽評論」、本作は「文芸評論」。そういうとこから電子書籍化ってことでしょうか?


当然これも読んでた…はずなんですが、今一つ覚えが…。
が、丸谷才一の「樹影譚」評を読んだところで、確かに読んだことを思い出しました。
だって、それをきっかけに「樹影譚」を読みましたからw。
(その流れで「長谷川四郎」も読んだはず。あんまり記憶がないけどw)


それにしても、「意味がなければ〜」にせよ、本書にせよ、村上春樹の評論は実にシッカリとしていて、分析的かつ精緻な論理構成であることを再確認させられました。
そりゃ、学術論文みたいなとこまでは行ってませんが、ふつーこんな風に聴いたり読んだりはしないんじゃないですかね。ま、本書は大学での講義がベースになってるってのはありますが。


僕もナンジャカンジャで映画や本の「感想」をブログにアップすることを10年くらい続けてますが、あくまで「感想文」。「印象批評」というのも恐れ多いって感じです。
読んだ本のことも結構忘れちゃってますしねぇ(本書然り…)。
別に第三者に訴えようと思ってるわけでもないので(あくまで心覚え)、それで何が不都合ってわけじゃないですが。


本書については、あと、
「色々な向きはあっても、やっぱり村上春樹ってのは『純文学』寄りの人なんだなぁ」
ってことですかね。
「純文学」ってジャンル分けにどこまで意味があるのかは分かりませんが、「文学」をもって何かを「語ろう」としているという意味においては確実に。それが本書でのチョイスにも出てきてるし、そういう切り口で語られています。
「私小説」寄りの人では、間違いなくないんですがねw。


<取り上げられた作品>
吉行淳之介「水の畔り」
小島信夫「馬」
安岡章太郎「ガラスの靴」
庄野潤三「静物」
丸谷才一「樹影譚」
長谷川四郎「阿久正の話」