鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

西浦先生との対談が物凄く興味深かったです:読書録「丁寧に考える新型コロナ」

・丁寧に考える新型コロナ

著者:岩田健太郎

出版:光文社新書

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ダイヤモンド・プリンセス事件(w)で「悪評」を買った岩田先生が、「新型コロナウイルスの真実」に続いて出版したコロナ本。

第一波、緊急事態宣言…を経て得た知見を踏まえて、新たに執筆されています(執筆時期は7月の第二波直前ってタイミングかな)。

 


「簡潔に、分かりやすく」ではなく、「丁寧に、理解できるように、ゆっくりと」説明しててくれています。

なんせ、「はじめに」と「対談」を除いて、240ページほどで取り上げられるのは、

 


・なぜ国ごとに差が出たのか、第二波がどうなるか

・検査について

・マスクについて

・緊急事態宣言の考え方

・プール、温泉…そして「専門家」と「信用」の基準

・楽器、音楽、コンサートーリスクヘッジの方法

・治療について

 


の7項目だけ。

さらに最初の2項目で120ページを費やしていますからねw。

じっくり、ゆっくり、丁寧に。

確かに「分かりやすい」。

でもじゃあ、「コロナウイルスへの付き合い方が簡単になるか」って言うと、全然そんなことはないんですけどw。

 


作品の趣旨から言って、僕がここで「簡潔に」ポイントをまとめるのはマズいでしょう。

「ぜひお読みください」

としか言いようがないw。

ちょっとだけ言うと、

「日本を含めアジアの感染被害が抑えられているのは、中国との距離感から、感染の広がりに(欧米に比して)早く気づいたため」

「検査、マスクは<状況次第>で対応が変わる」

…ってあたりが前半の「ポイント」です(岩田先生、ごめんなさい)

 


個人的には「おまけ」と思ってた西浦先生との対談がむちゃくちゃ面白かったです。

専門家会議という「政府」に近いところで動いている西浦先生の「組織とのスタンス」が、岩田先生とはひどくすれ違っていて、笑うしかない(実際、西浦さんは笑ってますw)。

ただ専門家会議の専門家たちが、どんな覚悟と想いを持っているか、っていうのは、襟を正す思いでした。

第二波・第三波…と続けてくる中で、日本全体で失敗を繰り返しながら学んでいくしかない。学べなければ国が滅ぶ。

…そういう強い覚悟が彼らにはあるようです。

そういう中で政治家が変わることにも期待してるようですが(国民の支持を失い、政権を失う恐怖から)、あるいは今の菅政権の矢継ぎ早の規制改革の姿勢は、その現れなのかもしれません。

(そういう観点から考えると、今の野党のスタンスはあまり効果的じゃないですね)

 


毀誉褒貶激しい方ですが、さすがに最近は発言の妥当性が認められてきてますかねぇ。(相変わらずTwitterでは絡まれて、うんざりしてる気配も見えますがw)

現時点で「新型コロナ」について考える上で、本書は最良の作品の一つでしょう。

 


…簡潔に分かりやすい本じゃないですけど。