・虚妄のIT立国ニッポン
著者:新型コロナ問題取材班ほか
出版:宝島社
「技術のニッポン」
とか言って「過去の栄光」で自分を誤魔かすんじゃなくて、
「決定的にデジタル化は欧米にも、アジアにも遅れていて、ここで舵を取り誤ったら、国家としての衰退の道を歩んでいくしかない」
くらいの気持ちで取り組んでいかなきゃいけない。
…ってのが読後感ですかね。
そのことが、この半年の「コロナ騒動」でよく分かった。
本書は「7月22日発行」ですから、情報としては少し古いところがあります。
決定的には「安倍退陣/菅政権発足」がフォローできてないこと。
ただコロナ禍での日本のデジタル化の壊滅的な状況ってのは、この時点で既に炙り出されていて、そのフォローはできています。
ま、この状況を政府サイドも認識してて、菅政権は「今のところは」そのフォローに力を入れてる・・・ってとこでしょうか?
本書はムック本なんで、「日本のデジタル化の状況」と言う視点は共有しつつも、執筆者ごとにいろいろな論点が持ち込まれています。
目次はこんな感じ。
大きく言えば、
「デジタル化がヤベェくらい遅れてるぞ!大至急なんとかせんと!」
と言う方向と、
「デジタル化が進むと、個人情報やら、ビッグデータやら、ちょっとマズい社会になっちゃうかもよ」
と言うネガティブ方向。
…でもまあ、軸足は前者にあるし、僕のスタンスもそっちですね。
コロナ禍でよくよく分かった惨憺たる状況を考えたら、多少のリスクはあっても前に進んで、何か問題があったら、そこの手を打っていく(場合によっては修正する)しかないでしょう。
今更「ハンコ」とか…。(かつて印鑑業者団体が如何に抵抗してきたか、その「成果」も含めて記事があります。今もその気配がありますね)
進めていくとしても、
中国・韓国・台湾のような、「多少、個人情報が行政に利用されても、効果的な監視・管理制度を作る」
か
欧米のような、「個人情報に最大限留意しながら、民間の力を活かした体制とする」
か。
前者だと政府サイドの力が強くなりすぎる懸念。
後者だと効果的なパンデミック対策が打てない上に、格差も拡大する懸念。
まあ、この間くらいが日本のスタンスでしょうが、個人的には前者寄りの方が向いてるとは思いますけどね、日本の場合。
その前に、「デジタル化」を進めるのに失敗するリスクも少なからずあるんですが!