・イーロン・マスクを超える男 サム・アルトマン
なぜ、わずか7年で奇跡の対話型AIを開発できたのか
著者:小林雅一
出版:朝日新聞出版(Kindle版)
この本が出版されたのは今年の7月
気になってはいたんですけど、あまりにも生生AIを巡る環境は日替わりで変わっていたので、どこまで情報がアップデートされているんだかよくわからない気がして、なんとなくスルーしてしまいました。
情報としては、サマートマンが解任された騒動もフォローしていて、ChatGPT4oの発表、ボイスモードのプレゼンテーション…あたりまでカバーしています。
本社の発表以降も「o1-preview」の発表とかいろいろあるんですけど、生成AI周りの技術的なこととか、歴史とか主な登場人物とかなんかは大体フォローされてる感じがします。
これからもいろいろあるんでしょうけど、その前提となる枠組みを把握する上においては、結構良い本なんじゃないですかね
本の概要
2023年、世界的な大ブームを起こした生成AI「ChatGPT」。
開発したのは若きCEOサム・アルトマン率いるOpenAIだった。
2015年に設立したベンチャー企業がなぜ7年でここまでのものを開発できたのか。
設立メンバーだったイーロン・マスクとなぜ反目したのか。
知られざる開発の裏側とGAFAMの覇権争い、そして天才アルトマンの素顔に迫る。
(目次)
■はじめに OpenAl、 サム・アルトマンCEO解任劇の舞台裏
株主の利益よりも 「AIの安全性」 を優先する特殊な取締役会
対立を煽って人心を操作する不快なペーパーカットの連鎖が呼んだ感情の爆発
まるで小噺のようなOpenAlの事業計画
【第1章】 Open Alの誕生
無謀な挑戦と迷走
高校時代に全校生徒の前でカミングアウト
Yコンビネータとは何か
スタートアップの育成を通じて巨万の富を蓄える
30歳を目前にAGIの実現に乗り出す
今から始めてグーグルに追いつけるのか?
迷ったスツケヴァーもグーグルからOpenAlに移籍
最初は途方に暮れた
最初に開発チームを指揮したグレッグ・ブロックマン
創業の翌年には言語モデルの開発を始める
学生時代のスツケヴァーらが開発した初期の言語モデル
最初は使い物にならなかった
トランスフォーマーとは何か
言語理解の鍵を握る「自己注意」とは?
2年間で出来なかった事をたった2週間で
【第2章】 進化――転機と決意、集中
非営利団体なのに営利企業という歪な統治体制に
自由な研究団体から統制のとれたエンジニアリング企業に進化
GPTとは何か?
二股かけていたアルトマンがOpenAlの経営に集中
OpenAlの実力を見極めるマイクロソフト
加速するLLM開発のために悪魔に魂を売り渡す
ビル・ゲイツが絶句したGPT-4の実力とは
【第3章】 飛躍――メガヒットに至る経緯と隠された
軋轢
最終調整に手間取りリリースが延期される最新モデルGPT-4
古いモデルを先に出すことをアルトマンが決断
ChatGPTが記録的ヒット商品に
OpenAIに巨額出資を決めたサティア・ナデラとは
グーグルはなぜ生成AIブームに乗り遅れたのか?
画期的なAI論文の共著者らが全員グーグルを去る
世界的な生成AIブームとそれに対する懸念
公的な存在へと脱皮するアルトマン
アルトマンとオッペンハイマー
国際スターへの道を歩み始める
Open Alの内部で軋轢が高まる
アルトマン解任騒動の始まり
アルトマンの支持者らが反撃を開始
OpenAlの従業員らがアルトマン支持で団結した理由とは
アルトマン解任劇が残したもの
【第4章】 踊り場
「著作権問生成AIの原罪題」 とOpenAIの足場固め
生成AIと著作権を巡る数々の訴訟とは
フェアユースとは何か?
機械(AI)の学習は人間が学ぶことと同じなのか?
既に棄却されたケースもある
訴訟はOpenAIにメディア企業との交渉を促す作戦の一部
従業員の功に報いる
マスクがOpenAIとアルトマンを訴えた理由とは
取締役にも復帰したアルトマンの完勝
米国メディアが報じた解任劇の内情
Open Alの日本進出と国内の生成AIビジネス
生成AIの学習用データをどう確保するかが今後の課題
合成データによる機械学習とは何か
【第5章】 未来
AGIへの道
アルトマンの果てしない野望と
天文学的な資金を調達してAI 半導体を開発
ビッグテックもAI 半導体を自主開発
中東のAl企業と提携して最高権力者に接近
塗り替えられるIT業界の勢力図
ビッグテックとスタートアップの複雑な関係
自然法則を理解するSora
機械学習に使われた動画データは内緒
民主主義の根幹を揺るがすリスクもある
次に目指すものは何か?
P(doom) とは何か?
AIの利益と倫理は両立するのか?
AIの行動原理や価値観は誰がどのように決めるのか?
(Amazonより)
個人的に改めてこの本を読む気になったのは、ChatGPTサーチが実装されて
「これで結構ハルシネーションを回避した検索ってできるようになってるんじゃないかな?」
というのがありました。
生成AIの真価は検索じゃなくて、価値創造にあるっていうのはわかっているんですけど、入り口としてやっぱり検察っていうのは結構大きいっていうのが個人的な利用でもありましたから。
ここでこれだけ精度が高いものができるんだとしたら、生成AIの活用っていうのは、かなり現実味を帯びてくるなっていうのが、僕の個人的な感想です。
で、そうなった時、改めてその中心にいる「サム・アルトマン」と言う人物について、興味が湧いてきて、本章を読んでみる気になった…と言う流れです。
読んでみて、1番僕が誤解してたのが、アルトマンがもっとエンジニアよりの人だと思い込んでたところですかね。
まぁもちろん高校時代にAGIを夢想してたって言う位ですから、エンジニアとしての能力もあるんでしょうけれども、スタンス的には、もっとマネジメントに長けたビジネスマンって印象。
ビジネスマンじゃ卑近すぎるとしたら、ビジョナリーと言うか。
でもかなりリアリストでもあって、そう言う意味じゃジョブズやゲイツっぽいかも。
マスクはもうちょいエンジニア気質が高い気がしますw。
まぁそういう性質の人だから、これだけのものを世に送り出すことができたっていうのは確かにあるんでしょうね。
サム・アルトマンやオープンAIのことに関してのいろいろや、生成AIの歴史、背景となる技術なんかを分かりやすく説明してくれているので、そこら辺の知識の整理をする上においてはすごく良い本だと思います。
人間ドラマとしても、アルトマンのオープンAIのCEO解任騒動なんかなかなかドラマチックですし、イーロン・マスクとの関係やMicrosoft 、Googleの生成AIに対するスタンスなんかもなかなか参考になります。
僕個人としては、AGIやASIの実現と言うのはまだまだ眉唾だとは思ってはいるんですけど、1年前よりは
「もしかしたら」
と思うようになっています。
大体ここ2週間でChatGPTサーチの利用頻度はむちゃくちゃ上がってますからねw。
基本的に検索は、音声入力のChatGPTサーチを使っていますし、検索頻度もかなり上がってる毎日です。
自分の使い方が平均値だとはさすがに思っていませんけどw、遠からずスタンダードになる確率は結構高いんじゃないかなぁ。
もちろん著作権とかいろいろ問題は並んでいるので、どこかで歯止めがかかる可能性もない事はないですけどね。
イーロン・マスクが権力を持ったっていうのもプラスになるのか、マイナスになるのか…w。
孫さんは10年以内にASIって言ってるしねぇ。
人口減少と少子高齢化が間違いない日本のこれからを考えるときに、個人としても組織としても生産性を上げていく必要性があると言うのは間違いないと思います。
その時ツールとして生成AIは間違いなく中核の技術になるでしょう
多少の不具合があったとしても、そこを押し突き進んでいかないと日本は厳しいと僕は思うんですけどね。
そういうことを掲げてくれる。政治家や政党が見当たらないところがちょっと寂しいと言えば寂しいです。(1番近いのは自民党だったりするんですけど)
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