・マン・カインド
著者:藤井太洋
出版:早川書房(Kindle版)
藤井太洋さんのSFは、近未来社会の描写が絶妙で好きなんですが、何となくここのところはご無沙汰でした。
ネットで本書を絶賛する評を目にして、久しぶりに読んでみました。
いやぁ、面白かったす。
本の概要
2045年、国際独立市テラ・アマソナスの指導者チェリー・イグナシオが、 軍事企業 〈グッドフェローズ〉の捕虜を銃殺する。 この虐殺をレポートしようとした迫田城兵は事実確認プラットフォームにより配信を拒否されてしまう。 果たして人類に何が起こっているのか?
(Amazonより)
今から20年後の未来。
自動運転が当たり前になり、AIエージェントが生活や仕事にも自然に組み込まれており、VR技術やAR技術なんかがバリバリに活用されている社会が描かれています。
そこら辺の技術的なバックボーンがどういうものなのかは読んでてもさっぱりなんですけど、読み飛ばしで行くと、ちゃんとそういう未来感が肌感覚でわかってくるようになるっていうのが、藤井太洋さんの作品の特徴でもありますかね。
量子科学がどうのこうのって言われても、さっぱりなんですけどw
本書は概要にある未来の戦闘シーンから、遺伝子技術を使った隠された陰謀、その向こうに見える「新しい人類」(人間のような=マン・カインド)の可能性へと、物語は展開していきます。
いろいろな要素が複雑に絡み合ってはいるものの、ストーリーとしては、割とシンプルと言えばシンプル。
SFっぽいアクションシーンも盛り込まれていて、一気にラストまで連れて行ってくれる感じです。
登場人物たちの思惑が錯綜してはいるものの、ウェットにならないとこも肌合いに合います。
ラストは悲劇的でもなければハッピーエンドでもない落ち。
個人的にはラストのラストに記される希望に惹かれますね。
ある意味「攻殻機動隊」でネットに溶けていった少佐の別の形?
行き過ぎると「レギオン」になっちゃいますけどw。
なんかそこら辺を深掘りして、新しい人類の次の形を見せて欲しいような気もします。
そういうのを狙った作品なのか、どうかは知りませんけどw。
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