鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

ハードSFだけど、外連味もたっぷり:読書録「オービタル・クラウド」

・オービタル・クラウド<上・下>
著者:藤井太洋
出版:ハヤカワ文庫(Kindle版)


この作者のことは、「GENE MAPPER」がKindleで電子自主出版された時に話題になってて、チョット知ってました(その後、完全版が出版されたようです)。
ただその頃はSFから足が遠のいてたんで読むこともなく…。
今、個人的にちょっとしたSF回帰の時期が来てて、「日本のSF作家」…ということで、「日本SF大賞」受賞作の本作を読んで見る気になりました。


いや、予想以上に面白かったです。
前半の科学技術がらみの展開や、作品のコアになる「オービタル・クラウド(軌道上の雲)」の原理なんかは「?」なんですがw、そこらへんを読み飛ばしても、十分に盛り上がりについて行けるというか…。
ラストの展開には読んでてグッと気持ちが上がったりしました。
ここら辺、ちょっとホーガンの「星を継ぐもの」っぽかったかな。ノリが。


一方で科学技術を軽視する国家への批判的な視点も入ってて、決して「技術バカ」じゃない要素も垣間見せるあたり、なかなか読ませる作家だとも思いました。
衰退した日本を描いている作品(アンダーグラウンド・マーケット)なんかも書いてるようですので、そっちの方も機会を見て、読んでみようかな。