鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

予想とは違う展開でした:読書録「幸村を討て」

・幸村を討て

著者:今村翔吾

出版:中央公論新社(Kindle版)

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最初は直木賞を受賞した「塞王の盾」を読むつもりだったんですけどね。

ただ何か話が地味そうな感じがしたのでw、際になってこっちに切り替えちゃいました。

大阪の陣での真田幸村の謀略・知略、そして華々しい散りっぷりを楽しませてもらおうかな、と。

でも、そういう話じゃなかったんです。

なんせ、冒頭1/5くらいのところで、幸村は討たれちゃうのでw。

 


物語は「そこから」スタートして、大阪の陣で幸村に関わった5人の人物をそれぞれ描きながら、「真田幸村」が<何者>であり、<何を狙っていたのか>を探る展開になります。

探るのは「徳川家康」。

真田家に痛い目にあわされ続け、幸村には「あわや」というところまで追い詰められた家康が、「真田家」の真意を探るわけです。

 


取り上げられる5名は有名・無名どころの混合。

・織田有楽斎

・南条元忠

・後藤又兵衛

・伊達政宗

・毛利勝永

それぞれ幸村との関わりを描くだけではなく、大阪の陣に至るまでのそれぞれの人生の道のりを追い、その果てに幸村に「何を見たのか」が語られます。

翻弄されながらも、最後は「自分」。

それぞれの決着の付け方にはグッとくるものがあります。

(個人的には、中でも「南条元忠」と「毛利勝永」ですかねぇ)

 


一方、幸村・真田家が「何を狙っていたのか」については、割と拍子抜けします。

ぶっちゃけ「家名の存続と、歴史に残る名を挙げること」。

これは「真田家」については、今まで言われてきていることでもあるんじゃないか、と。

そこに「驚き」がなかったのが、逆に驚き…というか。

(まあ、そのことが今も語られている…ことこそが、彼らの目論見が成功した証拠でもあるので、ここは微妙なところではあります)

こういう決着しかつけようがないっちゃあ、ないんですけどね。

まあ、「真田昌幸」の人物評なんかは、割と面白い仕上がりになってるというのはあるかな。

 


僕の場合、「真田太平記」(池波正太郎)を読んでますからねぇ。

「真田信之」の評価は、その分、かなり僕の中では高くなってます。

そこから見たら、ある種の「どんでん返し」が効いてない…ってのはあるかもしれませんね。

一般的には真田信之は昌幸・幸村の「影」に埋もれてるってのが普通かもしれませんから。

 


とは言え、作品としての「読み応え」は十分にあったと思います。

楽しませてもらいました。

「ヨシ。じゃあ、他の作品も」

…とまでは、すぐにはいきませんがw。

 

 

 

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