・小説イタリア・ルネサンス2 フィレンツェ
著者:塩野七生
出版:新潮文庫
フィレンツエ/メディチはメジャーですからね。
前作については初読時に背景が「?」なところが多かったんですが、本作を読んだ時は割とそこら辺で戸惑うことは少なかった覚えがあります。
まあ、森川久美さんの「花のサンタマリア」を読んだときに、メディチ家に興味を覚えて、ちょっとそこら辺の本を読んだ…ってのもありますが。
(「花のサンタマリア」自体は史実をベースにしてないと思います。まあ、ドーチェが「男装の麗人」だったりしますしw)
本作のメインストーリーは「ロレンツィーノ・デ・メディチによるアレッサンドロ・デ・メディチの暗殺」。
とはいえ「読みどころ」は主人公と<フランチェスコ・ヴェットーリ>のマキアヴェッリを巡る対話ですし、行き着く先は現実派であったヴェットーリと<フランチェスコ・グィッチャルディーニ>の謀略と敗退にあります。(その敗退は「フィレンツェ共和政の終焉」でもある)
ヴェットリーニとグィッチャルディーニは、マキアヴェッリの友人として史実に名を残した人物ですね。
「塩野さん、マキアヴェッリ、好きやなぁ〜」
と改めて思うとともに、また「我が友マキアヴェッリ」を読み返したくもなりました。
(もう一人の裏の主人公は「ロレンツィオ・デ・メディチ」。作中の半世紀前に世を去った彼が残した「芸術」が作品世界を彩ります)
まあ正直いえば「小説」としては「どうかな?」ってとこがなきにしもあらずw。
ダントロとオリンピアのイチャイチャぶりは楽しいんですが、フィクションより「史実」の方がドラマチックだったりしますから。
でもまあ、それが描きたかったことでもあるのかもね。
人間の感情の波がドラマを生みつつ、<歴史>の流れの中に、そのドラマが埋没していく感じかなぁ。
さて、次は「ローマ」か。
いつ頃、読もうかな。