・ハンチバック
著者:市川沙央 ナレーター:くわばらあきら
出版:文藝春秋(audible版)
最悪のしまなみ海道事故渋滞中にaudibleで視聴。
1.5倍速で1時間半くらい…を渋滞中に聞き終えたのはラッキーなんだかアンラッキーなんだか。
同乗した息子は爆睡中でしたが、息子が起きてたら一緒に聞く勇気はなかったかなw。
もちろん「芥川賞受賞作」ということで聴いてみたんですが、予想以上に聴きやすくて、ラストまで引っ張られました。
障害を持った主人公が「妊娠して中絶したい」という希望をTwitterに投稿し、そのことを施設の職員に知られ…
という話ですが、主人公の醒めた視線が読んでて結構気持ちよく、トントントンと話が進んでいきます。
障害者である主人公の日常が、あまり丁寧に説明されずに綴られるのですが、そのテンポが彼女にとっての「日常性」を思わせるところがあって、悪くないです。
ラストはどうかな。
芥川賞の選評でもここは賛否両論だったようですが、「まあ、そうだろうな」と。
その賛否があっても受賞したところに、ラストに至るまでの力強さが評価されたってのはあるんでしょう。
個人的には、そのラスト前のオチのところがちょっと弱い方が気になったんですけどね。
ラストそのものについては、
「夢オチ」
と読むか、
「夢のなか」
と読むかでしょうが、そこを判然とさせないところが狙いなのかな、と僕は読みました。
まあ、それがうまく機能しきれてないところが「賛否両論」なんでしょうが。
障害者の作者が障害者を主人公にして書いたことがクローズアップされる作品で
すし、そこに焦点が当たるのは仕方がないことですが、そういう「仕掛け」的なことを除いても「力」のある作品だと思います。
それが賞に値するかどうかは知りませんけどね。(他の候補作も読んでないし、そもそも興味もない)
でも「話題」を作って、少しでも文学界を盛り上げて…って狙いにはハマる作品なのも確か。
そこで出版界・文学界の「マチズモ」が痛烈に批判されたりもしてるんだけど。
渋滞の時間潰しにはなりましたしね。
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