鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

「螺旋」から降りることはできるのか?:読書録「エレベーター」

・エレベーター

著者:ジェイソン・レナルズ  訳:青木千鶴

出版:早川書房

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「螺旋」の概念を教えてくれたのは井上雄彦の「バカボンド」だったと思います。

「剣」を極める中で宮本武蔵が囚われた「殺しの螺旋」。

そこに囚われ続けるもの、降りるもの。

折に触れ、そのアナロジーが頭に浮かぶことがあります。

 

本書はアメリカの黒人少年が「ストリート」の<掟>に囚われ、その「螺旋」に取り込まれるのか、そこから降りて行くのか、わずか1分余りの「物語」を描いた作品です。

 

<掟


#1  涙


泣くな。

何があろうと、

けっして泣いてはならない。


#2  密告


密告はするな。

何があろうと、

けっして密告してはならない。


#3  復讐


愛する誰かが

殺されたなら、


殺したやつを

見つけだし、


かならずそいつを

殺さなければならない。>


ラップやポエトリーリーディングを思わせる斬新なスタイル。

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このスタイルだからこそ語れるものがある。

伝わるものがある。

(原書で読むと、もっとかもしれません)

 

そして「決断の行方」は…。

 

好きです、こういうの。