・劣化するオッさん社会の処方箋 なぜ一流は三流に牛耳られるのか
著者:山口周
出版:光文社新書
「世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?」の作者の新作。
http://aso4045.hatenablog.com/entry/2018/08/02/092220
割とキャッチーな(言い換えればウケ狙いのw)題名の割に結構しっかりした内容だった前作同様、本作も「掴み」はウケ狙いミエミエながら、中身はそれなりに読まされる内容になってます。
そういう意味じゃこういう売り出し方は、ちょっと勿体無いな~とは思ってるんですが、やっぱ売れるんですかね、こういう方がw。
本書で定義されている「オッサン」は、
<単に年代と性別という人口動態的な要素で規定される人々の一群でなく、ある種の行動様式・思考様式を持った「特定の人物像」として定義される>
とされ、
<1:古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する
2:過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない
3:階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る
4:よそ者や異質のものに不寛容で、排他的>
という人物像を想定しています。
まあ、そういう意味じゃ特に50代・60代のオヤジを指してるわけじゃないし、実際作者もそのことは念押ししてるんですが、一方でそういう年代層にその手の振る舞いが「目に付く」のも確かw。
ここら辺については以下のような「世代」区分を作者は提示しています。
戦後から50年代、60年代、70年代:教養世代
80年代:知的真空世代
90年代以降:実学世代
で、この「80年代」に社会人としての基礎を築いた世代が、今、50代・60代となって組織(会社)の中枢を握るようになり、コンプラ、ハラスメント系の諸問題を起こしたり、中枢から外れた人が社会問題化したり…というのが本書のベースです。
「80年代」に社会人としての基礎を築いた世代
僕やん!
本書には「組織は必然的に劣化する」ことについて語られていて、それは「出世という螺旋階段」を降りたものにとっては、ある種の心地よさもあるんですがw、個人的には
「そこは色々じゃないかな」
とは思いましたけどね。
本書のメインはむしろ若い層に「そうならないようにどうしたらいいか」ってとこに比重があるんですが、なっちゃた層(w)については、「時代の流れに劣化しない知識・経験の習得=教養」と、「1ランク上を目指す挑戦の継続」が勧められています。
ここら辺、
「ちょっと矛盾するとこも…」
とは思わなくもないんですがw、まあでも基本的には「そうだろうな」と思います。
なんとか「そうありたい」と意識してるつもりはあります。
僕らの後の世代である「実学世代」が本当にその成果を発揮できるのかどうか?
ここはなんとも言えません。
ただ明治維新や終戦直後を持ち出すまでもなく、「上のオッサンが幅をきかせてたら、発揮できるもんも発揮できない」のは確か。
下の世代に「経験」を積ませるよう、権限を委譲しつつ任せながら、自らはサーバントリーダーとして「分からないながらも」支援に徹する。
組織における振る舞いとして我々の世代に求められてるのは、こういうことです。
マジでそうじゃないと、この変化の激しい時代において、先端的な舵取りはできんでしょう。
…つうことで、「小泉進次郎、もっと頑張れ」という話に、またなっちゃうんですけどねw。
(個人としてのスタンスの取り方は、これはまた個人として思うとこありますが)