鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

敵はどっちだ?:読書録「クラウド・テロリスト」

クラウド・テロリスト<上・下>
著者:ブライアン・フリーマントル 訳:松本剛史
出版:新潮文庫

クラウド・テロリスト(上) (新潮文庫)

クラウド・テロリスト(上) (新潮文庫)

クラウド・テロリスト(下) (新潮文庫)

クラウド・テロリスト(下) (新潮文庫)


「消されかけた男」のフリーマントルの新作。
店頭で見かけて、「おお、懐かしい」と思ったのと(とか言って、多分20年くらい読んでないですけどw)、「サイバー戦争」を題材にしてると言うのが面白そうだったので、買ってみました。
…読後感。
良くも悪くも、「フリーマントル」ですなぁ。


前半のサイバー部隊がやってることは「?」の連続。
80歳になる御大が、よくもこんな題材をここまで…と感心しましたが、もうちょい分かりやすく書いてくれよ、とも思いました。いや、ジックリ読めばついていけるのかもしれませんが、エンタメ小説ですからね。
後半、主人公二人がバディになってからは、だいぶ乗れるように。MI5の女スパイが、ITのプロすら見逃してることをあんなに見つけ出せるんかいな…とも思わんでもないですが、まあそこは「エンタメ」ですので…w。
フリーマントルらしい皮肉の効いたラストも結構好きです。


米英のスパイvsテロリスト
なんですが、ほとんどテロリストサイドのことは描かれません。
かと言って「追跡劇」が描かれてるかと言うと、それもあんまりメインな感じがしなくて、なんかひたすら国家間・組織間の軋轢、その中でのひたすら利己的な振る舞いが描かれてて…「踊る捜査線」的と言いますか、実に「フリーマントル」らしいと言いますか。
でも「踊る」と違って「笑い」の要素はあんまりないんで、結構疲れましたね。皮肉も「ピリッ」って感じだったらいいんですが、こうも畳み掛けられると、ちょいと食傷気味ですw。


現代的なスパイ小説
と言う意味では、題材も含めそうなのかもしれません。老いてなお、こう言うチャレンジをする作者も立派。
ただ個人的には「もういいかな」って感じたのも事実です。
こっちの知力・体力が落ちてきてるだけの話かもしれませんがねw。