・モナドの領域
著者:筒井康隆
出版:新潮社
- 作者: 筒井康隆
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/12/03
- メディア: 単行本
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いやぁ、GODが言ってることが、よ〜分からんでねぇw。
神様だから人間ごときには理解できないのも仕方がない…ってわけじゃなくて、語ってることは既に実在の人物が語り、論じてることを踏まえてるんですよね。それを分かりやすく、砕けて語ってくれてるはずなんですが…。
こういう形而上学的なことを考える知力が決定的に足りねぇんじゃないかと、ちょいと寂しい気分になります。
とは言え、今更「トマス・アクィナス」なんか、読む気力はないですけどね。
(作中の人物たちは、言葉だけでなく、「悟性」にも語り掛けられるので、理解できるようです。これはちょっとズルいと思いましたw)
それでいて読んでいて退屈しないのは、作者の「物語」を構成する力が基本的にはしっかりしてるからでしょうかね。
「バラバラ殺人事件」を発端にして、人間を超越する存在(GOD)が現れ、すったもんだの末に、裁判の場で、テレビ番組でGODが人間に語り掛ける。
正直言うと裁判やテレビ番組のところはもう少し物語的にドタバタ感を入れながら語りこんでほしかった気もします。特にテレビ番組の方は、コメンテーターたちには名前さえ与えられてませんからねw。
背景も含め、作りこんだらもっと喜劇的物語的なドライブ感が出て面白いのになぁと、(「何言ってんだか」と、時に途方に暮れながらもw)思ったりしてました。なんかここら辺、ちょっと書き割り的な雰囲気になっちゃってるように感じたんですよ。
まあでも、作者が書きたいのはそういう「ドタバタ喜劇」じゃなかったんでしょうね、多分。
「小説/現実」の曖昧さってのもありますが、そこらへんも今更感があったのか、割とあっさりした感じ。
<わが最高傑作にして、おそらくは最後の長編>
というのが帯の煽りですが、どうでしょう?
筒井作品を追いかけてきた人なら同感できるかもしれませんが、本作だけ読んでそんな風に思えるかなぁ。
全くもって熱心な筒井ファンと言えない僕にとっては、
「面白いとは思うけど、そうなんかなぁ」
って感じでした。
「よう勉強しとるわ」
ってことには間違いなく感服させられますけどね。