鈴麻呂日記

50代サラリーマンのつぶやき

最後の作品集…にはならんよねw:読書録「カーテンコール」

・カーテンコール
著者:筒井康隆
出版:新潮社(Kindle版)

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「これがわが最後の作品集になるだろう。」(帯より)
んな訳ないよね。
まだ連載とかしてるみたいですしw。
でもまあ、カウントダウンは確かに…(89歳やもん)。


各紙に発表された掌編25篇をまとめた作品集。
ユーモアあり、ナンセンスあり、言葉遊びあり、下品あり、ホラー風あり、SF調あり…と多彩な作品が収められています。
読んでて、
「え?ここで終わんの?」
ってのも結構ありますが、考えてみれば「一番いいとこ」で切ってるとも言えますかな。
なんか隙間時間にパラパラ読んだんですが、楽しめたのは確かです。


いろいろな書評でも指摘されていますが、<読みどころ>は先だった息子さん(筒井伸輔さん)のことを描いた「川のほとり」でしょう。
醒めた目線と溢れ出る哀切の想いが短い中(10ページ足らず)に込められていて、手が止まります。
この作品については<もう少し>とは思わなかった。
それから自分の書いた小説の主人公たちやSF作家仲間たちが登場する「プレイバック」、
好きなハリウッド俳優や監督たちが登場する「カーテンコール」、
この2作が続きます。
「懐古趣味」?
そういうトーンじゃないんだけど、読む方にはそういう向きもあるかなぁ。
僕は全然「筒井さん」のいい読者じゃなかったんですが、それでも読んでて「ああ、そうだよね」とか思っちゃうところは、やっぱり同時代を生きてきた…って部分があるからなんでしょう。
筒井さんの覚悟のあるドライさは、僕にはちょっとしんどいんですけど。


次の作品集、楽しみにさせてもらいます。
「アンコール」
あるでしょう、筒井さんなら。